1. ドイツの平均給与 要因分解

    続いて、ドイツのデータを見てみましょう。

    図2 平均給与 実質 成長率 要因分解 ドイツOECD統計データ より

    図2がドイツの要因分解結果です。

    アメリカほどではありませんが、基本的には賃金・俸給がプラス寄与、雇用者数、物価指数がマイナス寄与していて、平均給与の実質成長率もプラス成長が続いています。

    データのある1992年~2006年ころまでは継続してフルタイム労働比率がプラス寄与しています。

    この指標がプラスという事は、パートタイム労働の割合が増えている事を示します。

    確かにドイツは、特に女性のパートタイム雇用率が2000年代中盤まで増加していて、主要国の中でも高い水準に達していました。(参考記事: 女性のパートタイム雇用率)

    2014年以降は逆にパートタイム雇用率がマイナス寄与している傾向に変化しています。パートタイム労働者が減っている事を意味します。

    2007年以降は2009年を除いて、賃金・俸給の伸びがそれまでよりも増えている印象ですね。この点はフランスやイギリスとは異なる傾向です。

  2. フランスの平均給与 要因分解

    続いてフランスのデータです。

    図3 平均給与 実質 成長率 要因分解 フランスOECD統計データ より

    図3がフランスのデータです。

    やはり賃金・俸給がプラス寄与、雇用者数、物価指数がマイナス寄与で、平均給与の実質成長率は基本的にプラスです。

    2009年の変化は賃金・俸給はほぼ変わらず、雇用者数と物価指数、フルタイム労働比率がプラス寄与しています。

    給与総額は変えないけれど、雇用者数を減らし、物価が下落する事で、平均給与がプラス成長しています。

    一方で、2020年の変化は、賃金・俸給が大きく減少し、雇用者数が減っていて、平均給与が大きくマイナス成長しています。

    挙動が異なるのが興味深いですね。

    ドイツと異なり、2009年以降は、賃金・俸給の伸びがやや低下しているようにも見受けられます。

  3. イギリスの平均給与 要因分解

    続いてイギリスのデータです。

    図4 平均給与 実質 成長率 要因分解 イギリスOECD統計データ より

    図4がイギリスのデータです。

    やはり基本的には賃金・俸給がプラス寄与、雇用者数、物価がマイナス寄与です。

    比較的パートタイム労働比率がマイナス寄与している期間が多いですね。

    イギリスはパートタイム雇用率が高い国ですが、徐々に低下している傾向があります。

    1991~1993年で雇用者数が減っていて、物価指数が大きくマイナス寄与しているのも興味深いです。

    フランスと同様に、リーマンショック以降の賃金・俸給の寄与がやや低下しているようです。

    また、リーマンショック後の実質成長率が低迷する期間が長いのも特徴的ですね。

    平均給与の時系列データでもこのあたりでイギリスの実質成長率が停滞している状況が見受けられます。(参考記事: 平均給与の国際比較)