実務で「あれ?」となってしまう人に共通する特徴

 採用時に履歴書や面接での評価が高かった人が、採用後の仕事のパフォーマンスにおいて期待値を下回るケースは多いものなのか。

「よくあります。このような現象が起こってしまう要因は、主にヒューマンスキルが関係しているといえるでしょう。採用時には書類や面接でテクニカルスキルに重点を置きがちですが、実際の業務においてはヒューマンスキルが非常に重要です。具体的な例を挙げると以下のとおりです。

1.意味付け力
 採用時には高いスキルを持っている学生でも、仕事の目的や意義を自身で見出せない場合、行動に移すことができない人がいます。仕事の背景や目的を理解せずに動くことになってしまい、パフォーマンスが低下するでしょう。

2.自己効力感
『自分ならできる』『うまくいく』と思考をプラスに向けられるかどうかがポイントです。仕事に対する自信や意欲が不足していると、新しい課題やプロジェクトに取り組む際ネガティブになり、つまずいてしまうケースもあります。

3.基本的信頼感
 ベーシックトラストともいわれ、チームでの協力が求められる場合などに、他のメンバーへの基本的な信頼感が不足していると、円滑なコミュニケーションが難しくなります。仲間を信じて仕事が進められないと、うまくバトンをつなぐことができず、チームワークにヒビが入ってしまいかねません。

4.当たり前水準の認識の違い
 仕事の達成基準や努力の水準についての認識が違う場合、期待値と実際の成果のギャップが生まれてしまいます。当たり前水準が高い人は向上心が強いので、仕事をしていくなかでの成長も早いといえるでしょう。

 このような能力は、履歴書や面接ではなかなか見抜くことが難しく、採用ミスマッチが発生する原因となります。採用においては、テクニカルスキルだけでなく、ヒューマンスキルを適切に評価する仕組みや手法を導入しましょう。特に新卒採用では、その人のポテンシャルやチームでの適応力を見極めることが大切です」(同)

 採用時にはテクニカルスキルだけでなく、ヒューマンスキルも適切に評価し、採用ミスマッチを回避するために企業側の努力も必要だ。実際にテクニカルスキルが優れた人材を採用し、すぐに辞めてしまう事例にはどのようなものがあるのだろうか。

「新卒採用の場合、学歴や経歴に対して偏った見方をしてしまうケースもあります。日本の企業でも上位の大学出身者を優先して採用されることも過去にはありましたが、就職後の定着率やパフォーマンスを測ってみると、いわゆる『そうでない』大学出身者の数値が高いこともあるのです。実際には学歴だけでパフォーマンスを予測するのは難しく、独自の経験やヒューマンスキルが重要な要素となります。

 また、海外大卒や留学経験があるというだけで評価するのではなく、自分に起きた何気ない日常でも『どんなことを考え、行動したのか』が重要です。学生側としては、留学などのビッグイベントを経験していないからといって、『アピールすることがない』と悩む必要はありません。経験を通じて得た能力や対処能力、問題解決力を仕事に応用できるのかがポイントになるでしょう」(同)

 海外大学への所属、留学などを経験していても、勉強や現地の人との交流に積極的に取り組んでいたとは限らない。一方、日本で学生生活を送りながらアルバイトでヒューマンスキルを磨き、将来を見据える人もいる。新卒採用では派手な経歴の有無ではなく、チームでのポジションや結果に辿り着くまでの行動といった内面的な要素を重視したほうが良いようだ。