ある企業の採用に関するSNS上での投稿が話題を呼んでいる。それは「海外大学卒・TOEIC900オーバー・Excelの達人」の高スペック人材を新卒で採用したところ、5年たっても使えないというものだ。同投稿には「現実で求められるのってコミュ力と体力じゃない?」「入る会社間違えたんだね」といったさまざまな意見が寄せられている。今回のようなハイスペック人材の採用ミスマッチは、なぜ起きてしまうのだろうか。人材研究所シニアコンサルタントの安藤健氏に、詳い話を聞いた。

ハイスペ新卒の基準とは

 新卒採用において「海外大学卒・TOEIC900点以上・Excelの達人」という経歴は高スペックと見なせるのだろうか。

「一般的な企業において、このようなスペックは高く評価されるでしょう。企業にとって、これらを持ち合わせた学生は非常に魅力的な存在です。しかし新卒採用の人材要件は、テクニカルスキルとヒューマンスキルと2つあります。まずテクニカルスキルとは、具体的な知識や技術、資格などを指し、TOEICスコアやExcelのスキルはこちらに含まれます。一方ヒューマンスキルは、チームワークやコミュニケーション能力など、人間関係に関わるスキルを指します。

 テクニカルスキルは履歴書に書きやすいこともあり重要視されがちですが、業界や企業によって求められるスキルや要件は異なるため、必ずしもすべての企業で同じスペックが必要になるわけではありません。ヒューマンスキルは組織で動く場面で大切な能力にもかかわらず、測り方が難しい点があります」(安藤氏)