圧倒的な商品開発力のセブン、ファミマとローソンは模倣するだけ

 セブンの日販がほか2社に比べて高くなっている要因は、圧倒的な商品ブランド力にある。

「セブンは、業界内でも商品開発力がずば抜けて高く、消費者から満遍なく手に取ってもらえる商品の育成に心血を注いでいる企業です。セブンは値段が高い分、おにぎりから弁当、お菓子、スイーツなど商品のクオリティもコンビニのなかでは最高クラスでして、消費者にもそういったイメージが浸透しているでしょう。なかでも2000年からスタートした『札幌すみれ』『博多一風堂』といった全国各地の有名ラーメン屋とコラボしたカップ麺シリーズは、コンビニではセブンが先駆けて開始し、開発力とブランド力の高さを示しました。

 もちろん、集客力や出店エリアの問題もありますが、もともとの商品の強さがセブンは群を抜いて強い。ほか2社の商品に比べると、セブンの商品には『セブンにしかない』『セブンの商品はハズレがない』といったイメージがありますし、商品自体のPR力は高めでしょう。加えてセブンは、別の商品同士を一緒に購入したくなるようなラインナップにしているのも特徴。たとえば、パンとサラダ、個々にフォーカスを当てるだけでなく、それをセットで買ってもらうためにはどうしたらいいのかと戦略を考えているのです。極めて俯瞰的、多面的に商品戦略に取り組んでいます」(同)

 セブンの商品開発力に太刀打ちできないことが、ファミマとローソンの日販が伸び悩む原因なのか。

「ファミマは、2016年の『サークルK』『サンクス』とのブランド統合後、元セブン社員で商品本部長を務めた本多利範氏主導のもと、セブンの商品戦略を徹底的に模倣するという戦略を打ち出しました。商品の品質からラインナップまですべてセブン風に仕上げており、よく見たらコンセプトが似ている商品も多いですが、それでもまだ商品のクオリティを見るとセブンに真っ向から勝負できるレベルには達していません。そもそもセブン的な企業文化が定着していませんので、じわじわとセブンとの類似点が減っているような気もします。

 一方のローソンは、セブンの商品を表面的に模倣するイメージがあります。セブンで売れ筋の商品コンセプトを真似て、自社展開する、というやり方です。ただし、見た目や中身を模倣しているだけですので、元ネタとなったセブンの商品にはクオリティやコンセプト面で勝負できていません」(同)

 ファミマ、ローソンの課題は、セブンからシェアを奪い取れる商品が少ないことだという。

「ファミマは、質より量を重視した商品戦略をとっていますが、そのほかにセブンより勝る要素は数えられる程度。ちなみにサークルKやサンクスは、セブンでも手が出せない高コスパの商品を販売することもありましたが、ファミマとの統合後にはそういった個性が消され、完全に廃れてしまいました。ローソンも『プレミアムロールケーキ』『Lチキ』『からあげクン』といった商品は、消費者からの認知度もニーズも高めですが、そのほかの商品ではセブンを脅かすことは到底できていません」(同)