販売業者の責任はどうか

 住民らが追及しているのは建築した旭化成ホームズの責任だが、販売者の責任はどうなるのだろうか。

「宅地建物取引において、宅建士(宅地建物取引士)は建築士でないので、特別の事情がない限り、擁壁の物理的な安全性について高度な注意義務や専門的知識を要求されるものではない。よって、擁壁が建築基準法上正しいかどうかをきちんと専門的な工事関係の知識に照らし合わせて説明する義務まではない。しかし、ここに擁壁があるとか、擁壁を作ると危ないとか、一般的に宅建士が見てわかるレベルの法令違反が疑われる場合は注意喚起する説明義務はある。だから、この横浜市港南区のマンション住民が擁壁の存在そのものをまったく知らされてないというのは、さすがに重要事項説明義務違反に抵触する可能性がある」(同)