個人消費は経済対策と原油高の綱引きか
ロシアのウクライナ侵攻以降、商品市況価格がそれまでと比較して世界の需給条件を上回る水準で決まりやすくなっている。加えて、OPECプラスによる協調減産のみならず、サウジアラビアの自主的な供給が原油価格の大きな押上要因として作用している。また、今後は中国を中心に需要の回復が見込まれることで、世界の商品市況は高止まりが続いている。そして特に今後、中東情勢の緊迫化がさらに深刻なものになれば、世界の原油需給はさらにひっ迫する可能性もある。従って、今後もしばらくは原油先物価格が高水準で推移し、中長期的に見ても原油価格が高止まる可能性がある。
これは、日本のように原油をはじめとした資源の多くを海外に依存する国々とって所得が資源国へ流出しやすい環境になることを意味する。特に人口減少等により国内市場の拡大が望みにくい我が国では、内需主導の景気回復は困難であり、所得の大幅な拡大も困難な状況が続く可能性が高い。従って、資源の海外依存度が高い日本経済が資源価格上昇の悪影響を相対的に受けやすく、日本経済は構造的に苦境に立たされやすい環境にあるといえよう。
特に足元の個人消費に関しては、コロナからのリオープンの一巡や賃金上昇を上回る物価上昇の影響などにより消費者心理は大きく低下している。したがって、今後の個人消費の動向を見通す上では、政府が検討している経済対策の効果もさることながら、原油価格の高騰といった負担増がタイムラグを伴って顕在化してくることには注意が必要であろう。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)
提供元・Business Journal
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