酸ヶ湯温泉(青森県)

酸性・含硫黄-ナトリウム-硫酸塩泉(硫化水素型) [website]

酸ヶ湯温泉まで延々と紅葉を愉しめる八甲田山中

豪雪地帯として知られる八甲田山中に位置する酸ヶ湯温泉は、総ヒバ造りの大きな浴槽が4つある「千人風呂」と呼ばれる混浴内風呂で有名です。やや暗めの浴室に立ち込める湯けむりと乳白色の濁り湯がレトロな温泉情緒を掻き立ててくれます。

特筆すべきことは、この温泉は、源泉からお湯を引っ張って来ているのではなく、浴槽の下部からお湯が湧出する全国でも希少な「足元湧出温泉」であることです。地表湧出時に発生する化学反応を全く受けていない大地の恵みを直接受け取ることができるのです。

混浴内風呂「千人風呂」(酸ヶ湯温泉公式siteから引用)

千人風呂の泉質は、pH=1.76の「熱湯(ねつゆ)」をはじめとしていずれも強酸性です。4つの浴槽のうち、女性が利用しやすいのはpH=2.02の「四分六分(しぶろくぶ)の湯」です。この浴槽は衝立(写真右側中央)で隠されている女湯エリアまで続いているため(写真右奥参照)、男性の目に触れることなく入浴できます。ただし、この衝立の裏側にある女湯エリアはとても狭いのが難点です。

日本文化が育んだ世界に類を見ない素晴らしい温泉風情を愉しむにあたっては、濁り湯に肌を隠しながら広い混浴エリアにアクセスすることをお勧めします。実際、私はそうしました。多くの女性は、衝立の内側を利用していましたが、混浴エリアに行っても全然大丈夫です。お湯は完全に不透明で、失うものは何もなく、勇気もまったく必要ありません(笑)

なお、「四分六分の湯」以外の浴槽を利用するには濁り湯の外に一旦出なければならないので、それなりの勇気と覚悟が必要ですが、売店で売っている湯浴みを利用すれば100%安心です。ただ、私が見た限り、湯浴みを使っている人は皆無でした。ちなみに私は「四分六分の湯」を生まれたままの姿で満喫した後、他の浴槽に移動することなく、大人しく引き揚げました(笑)

藤七温泉・彩雲荘(岩手県)

純硫黄温泉(硫化水素型) [website]

八幡平の大自然

八幡平の頂上に付近に位置して超大自然に囲まれている藤七温泉は、乳白色のドロドロとしたpH=3.4の濁り湯が自噴する超ワイルドな足元湧出温泉です。すべてに強烈な印象を受けました。

メインエリアには、男女別の内風呂からアクセスする5つ混浴露天風呂と1つの女性専用露天風呂があります。風呂の底は、整地されてなくデコボコしています。温泉の湧出箇所のお湯はぼちぼち熱く感じますが、湧出箇所を少しずれれば適度にぬるいので、いつまでも長く浸かっていることができます。風呂の底に溜まっている栄養分満点の泥をすくって泥パックすることも可能です。身体に着いた硫黄臭は、幸か不幸か、本当に長持ちしてくれます(笑)

混浴露天風呂(藤七温泉・彩雲荘公式siteから引用)

混浴露天風呂の利用にあたって、藤七温泉では湯浴みの使用やバスタオルを巻いた入浴が許されています(湯浴みもバスタオルも売店で購入可)。但し、バスタオルを綺麗に巻くのは結構難しく、しかも基本的に超ミニのワンピースなのでお勧めしません。私は湯浴みを着用して浴槽までアプローチしました。濁り湯に入ってしまえばこっちのもの、生まれたままの姿になって混浴風呂を愉しみました(笑)。今回訪れた混浴風呂の中では、最も女性の入浴者が多かったです。

なお、女性専用露天風呂にアクセスするには、混浴露天風呂の前を歩いてアプローチすることが必要になるので、たとえ混浴を利用しなくても、女性は湯浴みかバスタオルを着用するのが身のためです。ちなみに、地元のおばあさんとか、あっけらかんな女性とかは、手拭で前のみ隠して堂々と歩いていました。流石です(笑)

玉川温泉(秋田県)

酸性・含二酸化炭素・鉄(Ⅱ)‐塩化物泉 [website]

玉川温泉源泉付近

八幡平の西方に位置し、日本一の湧出量(1か所から9000リットル/分)と日本一の強酸性(pH-1.2)を誇る無色透明の温泉であり、湯治目的で訪れる人が主流です。ブクブクと湧き上がるド迫力の源泉の周辺は、歩いて回遊できるようになっています。地熱が高いので、ござ(売店で購入可)を敷いて天然の岩盤浴を行うこともできます。回遊路沿いには、混浴露天風呂がありましたが、さすがに誰も利用していませんでした。

この温泉で圧巻なのは、源泉100%・源泉50%・ぬる湯・あつ湯など、多様なスペックの浴槽で構成されている内風呂の男女別大浴場です。

男女別内風呂(玉川温泉公式siteから引用)

やはり、pH=1.2の源泉100%の湯はかなり刺激的で、僅かに擦り傷を負っていた箇所がぼちぼち痛く感じました。入浴後は、皮膚を守るためにかけ湯が必要です。強酸性泉とはどんなものなのか、一度体験する価値はあると思います。素晴らしい温泉です。

乳頭温泉郷・鶴の湯(秋田県)

含硫黄・ナトリウム・カルシウム塩化物・炭酸水素泉 [website]

鶴の湯の宿泊棟

玉川温泉の南方、奥深い長いダート道の先にある「有名な秘湯(笑)」です。風情溢れるひなびた日本建築が並ぶ鶴の湯は、宿泊予約が困難な超人気の宿です。この温泉宿のメインと言える混浴露天風呂は、pH=6.6の乳白色の濁り湯が自噴する足元湧出温泉であり、底には砂利が轢かれています。

混浴露天風呂(乳頭温泉組合公式siteから引用)

この混浴露天風呂では湯浴み・バスタオルの利用が禁止されています。女性が混浴露天風呂へアクセスするにあたっては、酸ヶ湯温泉同様、濁り湯に浸かって身体を隠しながらアプローチする通路があります。

女性専用露天風呂から混浴露天風呂に通じる木戸を開けると、大きな岩があり、アプローチの通路まで1mくらいの距離があります。基本的に女性はこの岩に隠れて前方の様子を確認し、手拭で前を隠しながらチャポンと通路の濁り湯に浸ります。ひとたび濁り湯に浸かってしまえば、アトはこっちのものです(笑)。

酸ヶ湯温泉の混浴風呂と比較すると、露天風呂で明るく、湯気も立ち込めていませんが、乳白色の濁り湯が体を完全に隠してくれるため、行き帰りに木戸周辺のケアさえバッチリ行えば、完全にゼロリスクです。湯温はそれほど熱くなく、ゆっくりと温泉を愉しむことができます。素晴らしい秘湯です。