陸っぱりとの違い
イカダエギングの最大の魅力は、やはり陸っぱりからは狙えないポイントをダイレクトに攻められること。毎日のようにエギを見せられている堤防周りのイカと違ってスレておらず、素直にエギに反応してくれる。前文の通り場所取りの必要もなく、仲間内で自由に楽しめることも大きい。
ただし、陸っぱりとの相違点も多い。沖に向かって投げる陸っぱりと違い、岸に向かって投げるので、エギの着水点が最浅部になる。そこからシャクってくれば、エギが手前に寄ってくるほど深くなるのだ。
タックルは陸っぱり用をそのまま流用
出船は午前5時半。タックルを船に積み込み、10分もかからずにイカダに到着した。荷物を下ろして早々に準備に取りかかる2人。タックルは陸っぱりで使っているものを、そのまま流用する。
ボートエギングではティップランが全盛だが、専用のタックルが必要となる。イカダではキャスティングメインなので、飛距離が出る陸っぱりタックルが最適なのだ。
期待満載の朝マヅメはまさかの空振り
イカダに渡った時点ではまだ薄暗かったが、タックルの準備を終わるころには白々と夜が明けてきた。いよいよ最大のチャンスである朝マヅメの始まりだ。
イカダでは、渡った直後が最大のチャンスとなる。アオリイカのフィーディングタイムであることに加え、エギを見慣れていないウブなアオリイカがいれば、何のためらいもなくエギを抱きにくる。
そして2人並んで陸に向けてフルキャスト。東川さんも姫璃歌さんもエギは2.5号だ。しっかりボトムまでエギを沈めた後、ややストロークの大きめのシャクリを入れて誘っていく。
だが、一向にアタリはない。当日は朝イチこそ冷え込んだものの、晴天微風で絶好の釣り日和。スルスルと海中に引き込まれていくPEラインを凝視する2人。アタリがあれば必ず分かるはずだが、ヒットコールは上がらないまま周囲は完全に明るくなった。
秘密兵器は塩漬けのササミ
期待の朝の時合いに無反応だったことで、一気に雲行きが怪しくなってきたが、ここで東川さんの秘密兵器が登場。取り出したのは、なんと鶏のササミの塩漬けだ。見せてもらうと、ほんのりと覚えのある香り。
「コレ、ニンニク入ってます?」と聞くと、「ハイ!」と笑顔の東川さん。このササミをエギにワイヤーで巻きつけるのだそうだ。いや、イカのエサにするより人間が食べた方が…と思うほどうまそうなにおいだ。よくヤリイカやスルメイカのイカメタルで、エサ巻きスッテにササミを巻く人は多いが、アオリイカにも効くのだろうか…。
この疑問をぶつけてみると、今年の春にキロアップをこのササミ巻きのエギで仕留めたらしい。それ以外でもアオリイカの実績は十分で、もちろんヤリイカやケンサキにも有効とのこと。