引っ越しする前に旧地名、古地図を確認すべき
熊木氏いわく、東京23区内の山の手のエリアは、災害に比較的強い地域だそうだ。
「下町に比べて高台に位置しており、なおかつ平らな土地となっているので地震にも水害にも比較的強い。都心部のように広い道路が整備されている地域なら、被害の拡大も抑えられます。ただし,山の手エリアでも神田川をはじめとする中小河川が流れていて,その周辺の若干土地が低めの地域では、小規模な水害の可能性もあるので注意すべきです。
それと都内に住むことにこだわりがなければ、神奈川県、千葉県、埼玉県に住むという選択肢もありです。地盤条件はさほど変わらない場所でも、郊外になればなるほど人口密度が低くなりますので、災害時の避難がしやすいというメリットがあります」(同)
災害に対して強い、弱い地域は大まかにわかるが、住む場所によって事情は異なってくるだろう。災害リスクが低い地域を選ぶコツ、探し方について教えていただきたい。
「雨が降ったときに引っ越し希望地の様子を観察してみるとよいでしょう。水はけがよくきちんと排水できているような場所であれば、浸水する可能性も低いです。また土地の高さも重要で、明らかに周辺の地域よりも低い土地にある場合には、水害、地震災害ともリスクは高まりますので推奨はできません」(同)
ほかにも旧地名や昔の地図を調べるという方法もおすすめだとか。
「地名は、その土地の性質を表したり、過去にどんな災害があったりしたのか端的にわかるようになっているケースが多いのです。地名に『池』『沼』『谷』が入っている地域は水害のリスクが高く地盤も軟弱であるところ,『砂』がつく場合は砂地盤で液状化のリスクが高いところかもしれません。注意すべきことは、本来の意味の漢字から別の漢字に置き換えられている地名も少なくないことです。たとえば新宿区『大久保』の『久保』は、窪地の『窪』という字を置き換えたものですね。また、住居表示などによって地名やその範囲が大きく変わってしまったところも多いので,昔の地図を使って古い地名を調べることを勧めます。
そして現在の都内は、宅地開発が非常に進んでしまったため、元の地形からかなり変化してしまった土地も多い。埋め立てや盛土、切土によって地盤が変化しており、多摩地区の丘陵地では土砂災害のほかに盛土地の変形が起こる恐れもあります。開発前の古い地図を見ると元々の土地を知ることができるので、災害対策にとっては有効な資料なんです。なお宅地開発は戦後の高度成長期から急激に進んだので、それ以前の地図を参考にするとよいでしょう。地名を調べる場合は、できるだけ古いものまで調べましょう。現在の国土地理院やその前身の機関が発行した精度が確かな地形図は、東京周辺なら明治初期までさかのぼって閲覧、入手できます。どうしても土地探しに困ったときには、古い地図を活用することを覚えておいてください」(同)
(取材・文=A4studio、協力=熊木洋太/専修大学文学部教授)
提供元・Business Journal
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