下町は地盤が弱く水害の恐れも…木造住宅も危ない?
地震と水害の危険性がある地域を考える場合、下町は災害リスクの高い地域に該当するという。
「前提として東京23区内は、西側の高台である山の手と、東側の低地の下町に大別できます。JR山手線で上野駅から田端駅の間では、線路の西側に崖がありますが、そこより以西の高台が山の手になっており、以東は低い土地がずっと続く下町になっています。
下町は基本的に地盤が悪い地域でして、特に月島や豊洲あたりの沿岸にある埋立地はより地震被害のリスクが高まります。埋立地の多くは橋が移動経路となっている人工島なので、仮に地震で橋が通れなくなると、何十万人も孤立する可能性が指摘されています。
下町は土地が低いので、水害の危険性も高いのです。1947年にカスリーン台風が襲来したときは、利根川が決壊し、埼玉県の一部の地域とともに水に浸かって多数の犠牲者が出てしまいました。現在は当時よりも人口が多く、地盤沈下で当時より土地が低くなっているところもあるので、同じような規模の災害が発生した場合は、被害がより大きくなると考えられているのです。下町のほとんどが浸水の恐れがあり、なかでも江戸川区のハザードマップでは、巨大台風襲来時などでは、区内や隣接区ではなく、東京西部や他県の安全な場所にすみやかに避難するよう求めています」(同)
また下町地域の建物も不安点だらけだそうだ。
「足立区、荒川区、墨田区などでは、建築年数が古い木造住宅が密集している地域が多い。昔の建築基準で建築されているため、耐震性が低いのはもちろん、火災が起きた際には一気に燃え移る可能性もあります。道幅が狭いところが多く、消防車も立ち入るのが困難で火災の被害が深刻化してしまう恐れもあります。
また、沿岸部の埋立地にはよくタワーマンションが建てられていますが、建物自体は耐震性があり、大きな被害が生じる可能性はとても低いです。ただし災害で電気、ガス、水道が止まるとなると、一気に生活ができなくなる恐れはあります。タワマンともなると、ひとつの建物にかなりの人数が住んでいるでしょうから、支援物資などをきちんと届けられるかも課題になるでしょうね」(同)