路面がリセットされている
日曜日の決勝。オートポリスは秋の気配が濃く肌寒い。そして強風も吹いている。ダンロップは公式プレビューで持ち込みタイヤは路面温度20度から40度に適応するタイヤで勝負すると発表している。路面温度は20度前後で変化するレベルで果たして性能を発揮できるのか、一抹の不安はあった。
ダンロップの担当者は「前日のQ2予選は路面にラバーがのってグリップ力が上がってましたが、この強い風で路面はリセットされています。温度も低いですし、決勝は厳しいかなぁと思います」とやや弱気な発言をしている。いや、冷静に状況を見極めているというのが正しいのだろう。

スタートドライバーは山内でダブル・スティントを予定。ラストを井口が走るというオーダーで、今季のこれまでの450kmレースとは異なるオーダーだ。井口でスタートし第2、3スティントを山内というパターンが多かった。そのオーダー変更の理由を小澤総監督に聞くと「勝負ポイントをどこにするか、ということで山内でスタートと第2スティントを勝負しようと思ってます」とコメントがあった。最後タイヤが厳しくなる状況では井口のテクニックで逃げ切るという戦略に思えた。
オープニングから速いブリヂストン勢
フロントローからスタートでジャンプアップに期待がかかり、ローリングスタートを見守る。2周のウォームラップを終えスタートが切られた。しかし、ポールからスタートの#2muta Racing GR86 GTとは、オープニングラップで1.317秒も差をつけられているのだ。
#2は逃げる。山内との差は広がり、後続では4番手の#52埼玉トヨペットGB GR Supra GTの勢いが凄い。3位の#31 apr LC500h GTは5周を終えた時点で1回目のピットに入り、タイヤ無交換でピットアウトする。

山内を除く3台はいずれもブリヂストンを履くチームだ。路面温度は22度。ダンロップタイヤが対応する温度ギリギリだ。タイヤ戦争が勃発したかのように序盤、#4グッドスマイル 初音ミク AMGと#88 JLOC ランボルギーニ GT3はヨコハマタイヤで3銘柄がぶつかり合っている。ダンロップは孤軍奮闘でBRZ GT300以外は上位に顔を出していない状況だ。
山内はタイヤが厳しいのか、9周目にセクター3で#52に抜かれてしまう。山内が追い抜くシーンは見慣れているが追い抜かれるシーンは珍しい。28周を終え3位のまま山内はピットに向かい給油とタイヤ交換をする。BRZ GT300はタイヤ4本を交換し、ピットアウト。山内は予定どおりダブルスティントを走る。コース上では8番手だがピットに入っていないマシンを除けば4位でコースに復帰している。

フレッシュタイヤを履く山内の追い上げに期待が掛かるものの、なかなかトップに近づけない。いや3位を走る#2にも追いつけない状況だ。ブリヂストン勢の中で#52と#31はタイヤ無交換作戦を行い、#2は4本交換を行なっている。だから#52、#31は後半厳しくなり、追いつけるはずだと予想しつつ、目の前の#2を追いかける。
46周を終えるとトップを走る#56リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(ヨコハマタイヤ)、#52、#31が同時にピットインし、山内は2番手に浮上する。BRZ GT300は2位をキープしながら2回目のピットインを行ない、井口卓人とドライバー交代をした。