専門家の見解 

 危機管理・広報コンサルタントで、長年、企業・自治体の管理職向けに模擬緊急記者会見トレーニングや研修・セミナーの講師なども手掛けてきた平能哲也氏はいう(5日付当サイト記事より)。

「2回の会見自体への評価としては、謝罪会見にしては珍しいほど合格点に近い。1回目での社名変更しない点は私も批判的だったが、東山氏、井ノ原氏、ジュリー氏(今回は欠席)は記者の厳しい質問に対して真摯かつ率直に答えており、様子が乱れたり声を荒げたりするような場面もなく、特段に問題は見られなかった。企業等の酷い謝罪会見をこれまでどれほど見てきたことか。

 NG記者リストに関するジャニーズ事務所の否定コメントを読む限り、事務所が指示したとは考えにくい。一方、FTI側が、クライアントである事務所に忖度して、サービスだという意識でこのような行為を行った可能性は十分に考えられる。批判的な質問が出ないままスムーズに会見を終えることで事務所から評価されて、今後の継続的な取引につなげたいと考えてもおかしくはない。

 もっとも、記者の顔写真までのせたリストを、証拠が残ってしまう書面で作成し、さらに報道陣から見えるかたちで会場に持ち込むというのは、コンサルティング会社やPR会社の情報セキュリティ感覚としては信じられない。もしその事実が公になればどのような事態を招くのかということへのイマジネーションが欠落している。危機管理(広報)意識の欠如そのものだ。

 もし私がアドバイスを求められていたら、こんなリストは作らず逆に厳しい質問が予想される記者を先に指名して発言してもらう。前回の会見のように長い主張や質問が続けば『この後、多くの記者の方が質問を待っているので簡潔に願います』と司会が言えばよい」