日産 GT-RにNISMOモデルが追加されたのは、新車発売から6年が経過した2013年のことでした。
それまでも国産量産車では最高のパフォーマンスを発揮してきたGT-Rに独自のチューニングを施した『日産 GT-R NISMO』は、GT-R同様に進化を続け、つい先日2024年モデルが公開されました。
ここでは『日産 GT-R NISMO』の2014年モデルから2024年モデルまでの進化と歴史について解説します。
目次
特別なGT-R、日産 GT-R NISMOの歴史
最高出力600馬力を発生するGT-R NISMO
特別なGT-R、日産 GT-R NISMOの歴史
日産 GT-Rは、2007年10月に「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる」をコンセプトとしたマルチパフォーマンススーパーカーとして登場しました。
開発を担当した水野和敏氏の「GT-Rは毎年進化させる」という言葉どおり、毎年のように改良が加えられて進化してきました。
そのいっぽうで、日産のモータースポーツ活動を行うNISMO(ニスモ)のサーキットでの経験とノウハウをフィードバックした『日産 GT-R NISMO』が2013年11月に発表されました。
最高出力600馬力を発生するGT-R NISMO
圧倒的なパフォーマンスを誇る和製スーパースポーツカー「日産 GT-R」をベースに、革新的な空力性能と精密なハンドリングを兼ね備えたワークス直系のスーパースポーツカーとして追加されたモデルが『日産 GT-R NISMO』です。
長年、日産のモータースポーツ活動を担ってきた蓄積されたレーシングテクノロジーのフィードバックとNISMO独自のファクトリーチューンにより、レーシングカー譲りの究極のハイパフォーマンスを実現するNISMOバッチラインナップのフラッグシップモデルです。
3.8L V6 ツインターボVR38DETTエンジンは、レーシングカーのGT-R NISMO GT3にも使われている高効率大容量の専用タービンの搭載にくわえ、点火時期や燃料噴射量も緻密にコントロールすることで、標準モデル(14年モデル)に比べて50馬力アップの最高出力441kW(600PS)、最大トルク652Nm(66.5kgm)を発生。
ボディは高負荷時でもサスペンションの精度の高い動作を確保するため、結合部に通常のスポット溶接に加え、構造用接着剤による補強を追加して剛性を高めています。この手法はファクトリーチューンだからこそ可能なものです。
サスペンションは、ハイスピードでのコーナリング時のホイール位置を最適化して操縦安定性を向上させるため、フロントのダブルウィッシュボーンに専用アッパーリンクを採用し、キャスタートレールを拡大。
リアサスペンションには、重量を低減しながらロール剛性を高めるφ17.3mm中空スタビライザーを採用して、コーナリングやレーンチェンジの際の車体の横揺れを最小化しています。
またスプリングと電子制御のビルシュタインダンプトロニック(Bilstein Damp Tronic)ダンパーは、専用チューニングにより極限状態でも路面に吸い付くようなグリップと正確なステアリング応答性を実現。サスペンションモードは3パターンから選択可能となっています。
これらサスペンション設定を補完するため、ワイドリムフロントホイール(20×10.0J)とサイズアップした専用の高剛性ハブボルト、フロント255/40ZRF20、リア285/35ZRF20という専用タイヤを採用します。
エクステリアには、カーボンファイバー素材をバンパー、リアスポイラー、サイドシルカバー、アンダーカバーなどに幅広く採用し、軽量化、低重心化を実現。風洞での徹底的な実験や最新のシミュレーション技術を駆使して開発された空力パーツによって、300km/h時にプラス100kgのダウンフォースを獲得。
同時に最適化された前後の空力特性は、四輪の接地荷重変動を最小化し、車両の優れたバランスを確保します。
インテリアは、RECARO製NISMO専用カーボンバックバケットシートが乗員を快適にしっかりと支え、ドライビングをサポート。
NISMOレーシングドライバーたちからアドバイスを受けたというステアリングホイールは、レッドセンターマークとレッドステッチ付きのアルカンターラ巻3本スポークを採用。
その他、メーターリッドのアルカンターラをはじめ、レッドステッチがあしらわれたシート、センターコンソール、ドアトリムなどにより、クルマ全体にレーシーな雰囲気が漂っています。
当時の車両本体価格は1501万5000円でした。