「ニューラリンク」の開発が進むなか身体改造は新たな次元へ

――先月19日、ニューラリンクの人体臨床実験の募集が開始されましたよね。研究に使用されたサルが虐待を受けいていた可能性を指摘する声も大きいように感じますが、実際どこまで安全性が保証されているのでしょうか。

ケロッピー前田:動物実験の詳細については現在、専門機関などが調査を進めている段階です。ただ、ニューラリンク側が開発を急いだのは事実なので、安全性に対してはさまざまな意見があるでしょうね。

身体改造ジャーナリスト・ケロッピー前田『モディファイド・フューチャー』刊行記念インタビュー(後編)
(画像=ステラのヒューマノイド「オプティマス」のモック(撮影:ケロッピー前田)、『TOCANA』より引用)

それに、イーロン・マスクの活躍を妨害したい人たちもいるので、足を引っ張られたりして結構大変そうですよ。去年、テレビ番組『クレイジージャーニー』(TBS系)が同行して、ニューラリンクの会見を取材しに行った際は、セキュリティが厳重でメディアは会場内に入ることができませんでした。

Twitterを買収したタイミングとも重なっていて、暗殺されるのではないか?という噂が出回っていた時期だったので。会見イベントの参加者のインタビューはできたけど、本人と直接話すのは難しい状況でしたね。

ーーそういえば、ケロッピー前田さんってマイクロチップも身体に埋め込んでますよね。どんなデータを入れることができるんですか?

ケロッピー前田:容量に限りはあるけどデータの書き換えができるから、ちょっとしたテキストとか写真データも入れられます。特に日本は環境が整っていないし、まだ一般的に望まれているような利便性があるわけでもないので、こういう身体改造はいわゆるサイボーグ宣言ですよね。

なので、ニューラリンクにはすごく期待していますよ。僕もぜひ試してみたいんだけど、今はまだ病気や障害を持っている人たちが優先されているから、5年後ぐらいになるのかなと思っています。

身体改造ジャーナリスト・ケロッピー前田『モディファイド・フューチャー』刊行記念インタビュー(後編)
(画像=「トリフォニウム」と呼ばれる最新のLEDチップを埋め込んでいる(撮影:編集部)、『TOCANA』より引用)

――本来は脊髄損傷などの病気を患っている人に向けての技術ということですよね。

ケロッピー前田:最初は病気や障害の克服を目指しますが、そこに止まらないんですよ。脳に電極を刺す医療行為というのは今までにもあって、パーキンソン病の治療に用いられるディープ・ブレイン・スティミュレーションなんかが有名ですね。脳に刺した電極を通して、直接パルス信号を送り込むことで手の震えを止める治療法なんですけど、治療を目的としているがゆえに、そう簡単に外すことはできません。

ニューラリンクが開発当初から取り外すことを想定しているのは、将来的にスマホのように普及させようと考えているからです。会見イベントで手術ロボットの実演があったけど、約15分で施術可能で技術的には完成しているので、安全性の試験が完了すれば、ロボットを量産するだけでどんどん効率よく埋め込むことができるじゃないですか。

身体改造ジャーナリスト・ケロッピー前田『モディファイド・フューチャー』刊行記念インタビュー(後編)
(画像=『Neuralink』より(提供:ケロッピー前田)、『TOCANA』より引用)

ーーとはいえ、脳に電極ってちょっと抵抗がありませんか?

ケロッピー前田:僕から言わせれば、ニューラリンクは頭蓋骨に穴を開ける身体改造の一種、「トレパネーション」に電極を脳に刺す機能が加わるようなものなので、恐怖心はまったくないです。問題があれば外せばいいだけで、「頭に穴を開けると意識が覚醒する」と主張している人たちにも会っているので、電極なんか刺したらかなり良い気分じゃないかなと(笑)。

身体改造を行う人たちのあいだでも、ニューラリンクに関するいろんな見方があるけど、僕が個人的にイーロン・マスクを推しているのは、彼自身が会見イベントでも「自分で試す」と断言しているからなんですね。

そういう意味でも、人類のサイボーグ化は新たなフェーズに移行する時期がきているように感じます。今回「BMX」に参加した理由も身体改造がどういう方向に向かっているのか、俯瞰する機会がほしかったから。それに僕もプレゼンしているので、長年のリサーチの成果を発表できたわけじゃないですか。

身体改造を追いかけてきてそろそろ30年。日本から発信する身体改造カルチャーがやっと世界に届いたと感じています。日本は縄文時代から身体改造が存在していたし、サイバーパンクという概念も生み出した。今後ますます世界に貢献していくことになるのではないでしょうか。

ケロッピー前田『モディファイド・フューチャー』

身体改造ジャーナリスト・ケロッピー前田『モディファイド・フューチャー』刊行記念インタビュー(後編)
(画像=『TOCANA』より引用)

発行:フューチャー・ワークス
日本の身体改造30年史 古代・現在・未来
TBS『クレイジージャーニー 』で特集されたマイクロチップとイーロン・マスクのニューラリンク最新レポート
日英バイリンガル版
128ページ(カラー64ページ)
定価:2800円(税別)

※一般書店やアマゾンでは販売しません
※イベント販売
10/7&11/4 デパートメントH@東京キネマ倶楽部
10/26 BURST公開会議@阿佐ヶ谷TABASA
11/11 文学フリマ@東京流通センター 第一展示場・第二展示場
※通販取扱店
銀座ヴァニラ画廊/中野タコシェ/阿佐ヶ谷ギャラリー白線/名古屋ビブリオマニア

■ケロッピー前田
身体改造ジャーナリスト。90年代半ばから伝説の雑誌『BURST』などで世界のカウンターカルチャーを現場レポート、身体改造カルチャーの最前線を日本に紹介してきた。その活動はTBS系人気番組『クレイジージャーニー』でも取り上げられ話題となる。05年以降、写真家、アーティスト、キュレーターとして国内外で作品展示を行う。主な著書に『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)、『縄文時代にタトゥーはあったのか』(国書刊行会)、『モドゥコン・ブック 増補完全版』(フューチャー・ワークス)など。
X(旧Twitter):@keroppymaeda
Instagram:@keroppymaeda
YouTube:ケロッピー前田のクレイジーチャンネル

文=浅香麻亜弥(トカナ編集部)

提供元・TOCANA

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
航空機から撮影された「UFO動画」が公開される! “フェニックスの光”に似た奇妙な4つの発光体
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
ネッシーは巨大ウナギではない! 統計的調査結果から数学者が正体を予測
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?