値段と質、ボリューム感のバランスは取れている
こうした業績不振下での今回の値上げについて、どのように評価できるか。自身でも飲食店経営を手掛ける飲食プロデューサーで東京未来倶楽部(株)代表の江間正和氏はいう。
「『いきなり!ステーキ』としても業績不振下での値上げはできるだけ避けたいところでしょうが、仕入値も人件費も上がり、同業他社も値上げしている状況なので踏み切ったのだと思います。日本の経済環境を考えると、この先もずっと値上げをしないというのは無理でしょうし、価格重視で質を下げてしまうと、より客離れが起きてしまうので、今回の値上げはお客さんにもある程度許容されるのではないでしょうか。
主力メニューである『ワイルドステーキ』の一番安いメニュー、150グラムで1240円となりますが、今ではランチタイムでも『1000円の壁』は崩れ、1200~1500円となってきています。ランチでこれくらいのお金を払っている客層は許容してくれるでしょうし、『もう高くて無理』という人のなかにも、競合する同じ業態の他店にコスパ負けしていなければ、ときどき利用してくれる人はいるでしょう。同じ土俵において負けてなければいいのです。
もともと『いきなり!ステーキ』は『俺のイタリアン』や『俺のフレンチ』の全盛期に、立食で回転率を上げ、原価率的にお客がお得感を感じられる料理を低価格で提供するビジネスモデルで繁盛しました。現在では椅子がある店舗も多くなり、落ち着けるとまではいえませんが、座って食事ができるようにもなっています。
私は300グラムの『ワイルドステーキ』を食べることが多く、メニューの表示的にも300グラムが一番の売れ筋となっているようです。せっかくステーキを食べるなら、がっつり食べたい人が多いのでしょう。価格改定後は2140円ですが、個人的にはファミリーレストランのステーキや、街場の飲食店で食べるステーキ、業務用スーパーで買ってきて家で焼くステーキなどと比較すると、いきなり!ステーキの値段と質、ボリューム感のバランスは取れていると感じます。圧倒的な優位性とまではいきませんが、生活圏内にあれば選択肢の1つになります」