ゲーム業界の構造的な問題を打破するべく同業がスクラムを組んだ

 新人の育成が遅れていた背景には、先述のゲームの高クオリティ化に伴う作業量の増大がある。開発者に求められるレベルが上がりすぎて、新卒者を即戦力として活用することが不可能になってしまったのだ。この流れに対して、会社レベルでは対応する体制を整えたものの、教育機関を含めた業界単位での対応も必須だと宮崎氏は訴える。

「ゲーム業界を志望する学生は多いのですが、求められる能力を備えた学生は多くはありません。さらに、ゲームの高クオリティ化に専門学校の教育水準が追い付いていない面もあります。できる人だけを伸ばす教育をするわけにはいかず、平均的な卒業生のレベルでは我々が求める水準には足りません。そこで、教育機関との連携を強めるために、福岡・九州にあるゲーム会社が中心となり構成する任意団体『GFF』で新たに学校を支援する取り組みを立ち上げました。GFFが専門学校をサポートして、学生と学校の教員の双方に働きかけていきます」

 学生に対してはゲーム会社の実像やビジョンを伝え、学校の教員に対しては必要な技術とその教え方を伝達していく取り組みだ。専門学校にGFFに加盟してもらい、産学一体化を強めて人材難を打破しようと宮崎氏は考えている。

「さらに、専門学校を飛び越えて中高生に対しても情報発信を強めたいと考えています。11月25日に開催するCEDEC+KYUSHU2023というゲームカンファレンスで中高生無料にします!無料で業界イベントに参加してもらい、開発者になるために中高生からできる手段を知るきっかけにしたいのです。ゲーム業界に通じる道がわかれば、パッションを持った若者は必ず増えていくはずです」

 ゆくゆくは、GFFの取り組みがゲーム業界全体をリードし、モチベートするようになっていくだろう。人材難はゲーム業界のみならず、日本の今後を左右する重要課題であるだけに、サイバーコネクトツーとGFFの動きは多くのビジネスパーソンのヒントとなるはずだ。

(文=日野秀規/フリーライター)

提供元・Business Journal

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