今月1日より30日まで、東京・新宿にあるギャラリーバー・BAR DOQUDOQUにて、死体写真家・釣崎清隆による写真展『DAYS OF THE DEAD 2023』が開催中だ。

本展は、2018年に釣崎氏が刊行したアンソロジー写真集『THE DEAD』(東京キララ社)の発売を記念して、同年、宿眼科画廊で行われた写真展『DAYS OF THE DEAD』以降、東京と大阪で定期開催されている。

【あと2日】東京・新宿BAR DOQUDOQUで釣崎清隆死体写真展『DAYS OF THE DEAD 2023』開催中!
(画像=『TOCANA』より引用)

BAR DOQUDOQUにて、釣崎氏の死体写真展が行われるのは今回が2回目。日本最大の歓楽街・歌舞伎町で昼夜を問わず営業する”エログロ&サブカル”をテーマにしたギャラリーバーとして、若者を中心に絶大な支持を得る有名店だが、なぜ釣崎氏は展示会場にバーを選んだのだろうか?

ふとそんな疑問が湧き、取材を申し込んだところ、意外にも「一種の啓蒙活動ですよ」という返答が返ってきた。この言葉の真意を探るべく、話を聞いていくうちに、30年にわたって国内外の死体現場を飛び回り、唯一無二の表現活動を行うアーティストならではの片鱗が見えた気がした。そこで今回は当初の展覧会紹介という取材目的から趣向を変えて、緊急インタビューを敢行した記録をお届けしたい。

夏は東京、冬は大阪のギャラリーバーで死体写真展を毎年開催

――大阪のほうでも、味園ビルのTORARY NANDで毎年写真展を開催されていますが、こういったバーで写真展を行うことに何か目論見のようなものはあるのでしょうか。

釣崎清隆氏(以下、釣崎):死体写真を展示できるスペースがあれば写真展をやらせてもらうというだけです。ただ、BAR DOQUDOQUは、客層的にも趣味趣向がこっち側に寄っている方が多いので、お店と相性は良いかなっていう感じはします。

――ご自身のなかで、どういう方々の目に留まったらいいなぁという思いはあったりしますか?

釣崎:いや、僕は人を選ぶことよりも、なるべくたくさんの方に作品を見てもらうことを大事したいので。BAR DOQUDOQUもお店のスタイルからして、僕の活動とだいぶ近いところにあることは確かなんだけど、それでもやっぱり写真展をすると「初めて見ました!」という反応が返ってくることも多いんです。

夏は東京、冬は大阪って感じで写真展を開催するようにしているので、毎年やっていることが認知されれば、展示目的で来てくれる人もいるじゃないですか。一時は本当に場所がなくてね、特にゼロ年代の前半はこういった機会はまったくありませんでした。

――いわゆる鬼畜系カルチャーに対する世間の反省みたいなものも関係しているのでしょうか。

釣崎:当時も風当たりは厳しかったですよ。僕は『TOO NEGATIVE』(吐夢書房)の創刊がきっかけでこの仕事を始めることになったんですけど、その前身となった『Billy』(白夜書房)をガキの頃に愛読していたんです。

以前TOCANAに寄稿した記事にも書いたけど、『Billy』は死体とかフリークスやSM、スカトロなどあらゆる悪徳を集めたような雑誌で、それ自体をサブカルチャーとして成立させることを目的とした非常に意欲的な試みだったと思うんですけど、死体写真が報道写真とかありもので構成されていたんです。

だから、「90年代版の『Billy』として新たに『TOO NEGATIVE』を立ち上げる」という話を聞いて、それならば撮り下ろしの写真を掲載するべきだと。当時所属していたAVメーカーを辞めた27歳の時に、死体を撮影するために世界を飛び回ることになりました。来年で死体写真家生活も30年になるので、我ながら長い旅だなぁと思いますけどね。

【あと2日】東京・新宿BAR DOQUDOQUで釣崎清隆死体写真展『DAYS OF THE DEAD 2023』開催中!
(画像=『TOCANA』より引用)