インシデント管理の重要性
先述の通り、インシデントは重大なアクシデントの一歩手前の事象です。インシデントを放置すれば重大な事故・事件につながり、自社・顧客・取引先などさまざまな関係者に被害が出るでしょう。
インシデントがアクシデントになる前に気付き、適切な対処をすることが大切です。インシデントのうちに対処をすることで被害を未然に防いだり、防げなくとも最小限に抑えたりできるでしょう。
そのためには、インシデントを適切に管理しなければなりません。どんなインシデントが発生しているのか確認できるようにするのはもちろん、対応のフローやタスク、各工程の担当者を明確にすることが大切です。
管理を続けていくことで、インシデントに関するデータ・ナレッジが蓄積されていくでしょう。インシデントの原因を究明して再発を防いだり、対応時のフィードバックを活かして似た事象が起きたときの対応に役立てたりできます。
インシデント管理と問い合わせ管理の違い
インシデント管理と混同されやすいのが「問い合わせ管理」です。
問い合わせ管理とは、顧客や見込み客からのあらゆる問い合わせを一元管理することです。システムの障害や不具合などのインシデントに関する問い合わせを扱うこともありますが、契約や料金など、問い合わせの大部分はインシデントに関係のないものです。
また、問い合わせ管理の目的は問い合わせに迅速・正確に答えていくことですが、インシデント管理の目的はインシデントを解決することです。サイバー攻撃を防いだり不具合の原因を究明したり、解決のための作業をすることもインシデント管理に含まれます。
インシデント管理でよくある課題
インシデント管理におけるよくある課題とその対処法を紹介します。
インシデントの共有がうまくできない
インシデントの共有がうまくできていないと、適切なインシデント管理はできないでしょう。現在どんなインシデントが発生していて、解決のためにどんなタスクがあり、誰が対応するのか、優先順位はどうなっているのかなどを管理し共有しましょう。
過去のインシデントを共有することも大切です。これまで起きたインシデントの内容や対応、原因などをナレッジとして蓄積・共有することで、再発防止や対応フローの改善ができます。
Excelや管理システム、ナレッジベースを活用し、インシデントの対応状況やナレッジを共有しましょう。
再発防止のための「問題管理」ができていない
インシデントの再発防止のために欠かせないのが「問題管理」です。これまで発生したインシデントについて分析し、発生の原因を突き止めることです。
問題管理ができていないと、インシデントがなぜ起こったのかが不明確なままになります。過去のインシデントのナレッジ化・共有により対応フローは改善できるかもしれませんが、これだけではインシデントの発生そのものを防ぐことはできません。
インシデントが発生していないときに問題管理を行い、再発防止のための仕組みづくりを進めておきましょう。