「経験と想いを熱く語る」ことで、25歳のときにアナウンサー職に選ばれたという松下公子さん。その当時は、新卒で入社した企業を退職してアナウンサーになることを志すフリーターだったそうです。
現在は、アナウンサー志望者の内定獲得をサポートするSTORYアナウンススクールの代表として、さらにはスピーチコンサルタントとしても活躍しています。
面接で選ばれるための秘訣を教えていただいた前編に続き、この後編では、想いを伝えるための手法「共感ストーリー」がどのように生まれたのか、「良い/悪い話し方」についてお話をうかがいました。
(本記事は後編、前編はこちらから)
‟想い”を届けるメソッドがうまれたきっかけ
佐渡ケーブルテレビ時代の松下さん(右から3人目)、島民の皆さんと
ーー前編でうかがった「共感ストーリー」についてくわしく教えていただけますか?
松下:新卒の時は、アナウンサー受験をしても全然うまくいかなかったんです。ところが、1度社会に出て、中途採用として受けた採用試験ではいきなりうまくいきだしました。ただ事実を話すだけで、結果がついてくるんです。
その理由が知りたくて、いろいろと振り返りをして、新卒の時は、ただ「アナウンサーになりたい」だけで、続く言葉に全然意味がなかった。自分の想いがきちんと伝えきれていなかったことがわかりました。
出来事と感情を基に共感ストーリーを作ります|『転職は話し方が9割』から引用
ーーどんなことでしょうか?
松下:私は当時フリーターでしたが、結婚式の司会業をしていることをふまえて「結婚式の司会は一期一会の出会いなので、今後は地域に根ざして、継続的に地域の人びとと関わって情報発信をしていきたい」と話したんです。
これは本当に考えていたことなんですが、「何をきっかけにして、その想いに至ったのか」を具体的に伝えられたんですね。
ーーその結果として、メディアでのアナウンサー経験がなくとも佐渡テレビジョン(新潟県・ケーブルテレビ会社)に採用されたんですね。
松下:そうなんです。佐渡での経験は「これからもアナウンサーであり続けたい」という確固たる想いにつながりました。
佐渡テレビジョンを離れてから受けた採用面接では、意識的に、その想いときっかけを伝えてみたんです。そうすると、それまで下を向いていた面接官の人たちが、急に「声が届いた」ようにこちらを見てくださいました。
自分の出来事と想いを伝える、シンプルなやり方ですが、「これでいいんだ」という手ごたえがありました。