相手企業との信頼を大きく傷つける行為
気になるのは、管理が徹底されているはずのモスフードほど大規模な外食チェーンにおいて、なぜ、このような不適切行為が発生してしまったのかという点だが、外食チェーン関係者はいう。
「いくら高額な出演料を支払うとはいえ、社会的なステータスが高い自動車や家電、食品のメーカーと比べて格下の外食チェーン側にとっては、ジャニーズ事務所というのは『タレントさんにCM・広告に出ていただく』という存在。しかも今回問題となっているのは、すでに亡くなった元社長の行為であり、直接的にはタレント本人は無関係。企業同士で締結された契約の期間中に、出演タレントの顔に『テイクアウト』などと書かれた紙を貼り付け隠すという行為は、悪ふざけを通り越しており人権侵害レベル。極めて悪質であり相手企業との信頼を大きく傷つける行為で、企業取引の世界ではモラルが逸脱しているといっていいレベル。モスフードは『本部が指示したわけではない』としているが、店舗の責任者である店長は当然ながらこの行為を認識していただろうから、この弁明は通用しない」
別の外食チェーン関係者はいう。
「百歩譲って、顔に貼られた紙が無地の紙などであれば、まだ理解できる部分はある。たとえば、本部側の明確な意向を確認できないなか、これだけ世間を騒がせている問題ゆえに顧客に与えるイメージや売上への影響などを店舗側が考慮して、勝手にポスターの掲出をやめるわけにもいかず、焦って応急措置的に顔の部分を隠すために紙を貼ってしまったという可能性はゼロではないかもしれない。だが、今回貼られた紙は無地ではなく、『テイクアウト お持ち帰りいただけます』などと書かれており、明らかに店員の悪ふざけというか悪意を感じる。画像や映像の顔の部分を隠すという行為は、隠された人物がなんらかの不祥事を起こした際にも行われる処理であり、タレントについてそういうイメージを見た人に抱かせることは社会通念上許されることではない」