“心頭滅却”できないのは修行が足りないのか?

 仏教の「心頭滅却すれば火もまた涼し」という無念無想の境地にも繋がるマインドフルネスの2番目の重要な“戦略”は、自分自身で周囲に向ける注意をコントロールすることである。

 周囲の何にどのような焦点を当てるかについて、自分自身が最高の権限を持っているという考えに基づき、周囲の雑音や誘惑に惑わされることなく周囲を適切に認識できれば確かに余計なことに関わらなくて済む。

 しかし問題は、これが“注意の心理学”を非常に単純化しすぎた見方である点であるとストーン氏は指摘する。

 周囲の何に目を向けるかは個人の問題であると共に社会の問題でもある。“心頭滅却”したからといって信号を無視していいわけはないし、スマホから鳴り響く「緊急地震速報」を無下にするわけにもいかない。

 ストーン氏は「一部の哲学者や認知科学者によると私たちの注意は自分の身体に大きく依存しており、物質的および社会的状況に組み込まれています」と説明し、周囲に惑わされてはいけないものの、周囲の重要な変化には適切に対応しなければならないことを再確認している。

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(画像=画像は「Pixabay」より,『TOCANA』より 引用)