1990年代国産NAスポーツエンジン黄金期の幕開けだったVTEC
小気味よく吹け上がるエンジン、タコメーターの針は鋭く立ち上がり、可変バルブ機構が高回転モードへ切り替わると、さらにどこまでも高みへ…リッター100馬力オーバーの世界へ!
国産スポーツの黄金期と言われた1990年代、ブン回して楽しい高出力高回転型のNA(自然吸気)エンジンが数多く存在し、大トルクでブーストがかかるや強引に加速するターボエンジンとは異なり、高回転域まで続くリニアな加速フィールが魅力とされました。
それらは2000年代に入って環境対策が強化されると、同時期のターボエンジン同様、次第に消えていったわけですが…今回は当時を代表する各社の可変バルブ機構と、その採用エンジン、搭載車種のうち、「ホンダVTEC」について紹介します。
ネット値でリッター100馬力を達成!
バリアブル(V)バルブタイミング(T)アンド リフト・エレクトロニック(E)コントロール(C)システム、略して「VTEC」(ブイテック)…略称の語感が最高で、その立派な戦績からも、VTECのVは勝利(Victory)のVじゃないの?!と言いたくなります。
元々は環境性能と実用的な動力性能の両立を目指して開発が進められた技術ですが、低回転と中・高回転で「カム」と呼ばれる部品の駆動を切り替える技術にメドがたち、低回転時には実用上十分なトルクを、中回転以上では吸入空気量を増して高出力を達成。
吸気・排気ともにバルブのリフト量と開閉タイミングを緻密な電子制御でコントロールして、従来の自然吸気エンジンでは困難だった「リッター100馬力を達成」した印象が強く、VTECといえば思い浮かべる人が多いのは初期の「DOHCVTEC」でしょう。
1970年代以前にも軽自動車でリッター100馬力超の自然吸気エンジンはあったものの、それらは現在のネット値とは異なるグロス値で、ネット値換算だと80〜85%程度に過ぎません。