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リッターカーブームに乗り遅れるな!
4WDはお手のもの、ECVTも初搭載するが…
リッターカーブームに乗り遅れるな!
しかし、1980年代に入ろうかという時期になると、スバル1000以来少しずつ車格アップ、1.3~1.8リッター級になっていたレオーネ(当時だと2代目)と、軽自動車の間を埋める車種がなく、現在のように提携他社からOEM供給というのも容易ではありません。
一方で他社はダイハツ シャレード(初代1977年)をはじめ、日産はマーチ(1982年)、スズキはカルタス(1983年)とリッターカーの開発情報が続々で、このままではスバル軽自動車から他社リッタカーへユーザーが流れ、そのまま帰ってこないという懸念が。
そこでスバルでも本腰を入れてリッターカーを開発しますが、その手法は2代目(1981年)からFF化されたレックスを拡大し、レックスの輸出用エンジンEK42(667cc)とボア×ストロークは同じまま1気筒追加したような997ccエンジン「EF10」を搭載。
後にダイハツやスズキも多用する方法で軽自動車ベースのリッターカーを開発し、「ジャスティ」として1984年に発売しました。
4WDはお手のもの、ECVTも初搭載するが…
当時のリッターカーとしては最後発になったジャスティですが、スペース効率と経済性重視でFFのみだったライバルに対し、当初から4WD(パートタイム式)を採用したのが特徴で、ベースのレックスが採用していたメカニズムをそのまま使えたのが強み。
4輪ストラット独立懸架サスもレックス4WDゆずりで、コーナリング性能にも期待を持てそうですが、実際のところはどうだったのか、筆者自身はジャスティを運転した事がないので、定かではありません。
動力性能は1リッターのEF10で47馬力、1.2リッターツインキャブのEF12で66馬力と大したものではなかったので、攻めた走りには非力なエンジンをギャイーン!と唸らせる必要があったはずです。
問題はレックスからの拡大時にフロアやサイドシルなどに適切な補強がなされていたかどうかで、後の軽自動車ベースコンパクトカーに剛性不足が目立つのを考えると、ジャスティにも同種の悩みがあったかもしれません。
1987年にはスバル自慢の無段変速機ECVTを初搭載、翌1988年にはビッグマイナーチェンジによるフェイスリフトで近代的なフロントマスクになって、「でかいレックス」の域を脱しますが、それでジャスティとしての進化はほぼ止まってしまいました。
ライバルがモデルチェンジする一方、初代レガシィの成功からプレミアム路線へと舵を切ったスバルには、たとえ軽自動車ベースでもジャスティ後継車を開発する余力はなく、当時提携していた日産との共同開発も実らなかったため、1994年で生産を終えています。
ヴィヴィオベースで拡大し、DOHC化したEF12にスーパーチャージャーを組んだ「ジャスティRX-R」でもあれば面白かったかもしれませんが、しょせんスバルの規模では無理な話だったのでしょう。