データサイエンスが注目されている背景
データサイエンスへの注目は、近年急激に高まっています。そこには技術的な背景とビジネス的な背景があります。
ビッグデータ活用の土台ができたため
データサイエンスが注目される背景には「ビッグデータ活用の土台ができた」というものが挙げられます。
ビッグデータとは、人間ではとても扱えないような膨大かつ複雑なデータ群のことです。データの収集・管理・分析・活用などに関する技術が発展したことで、ビッグデータの活用が容易になり、一般企業もデータサイエンスに取り組めるようになりました。
データの収集に関しては、たとえばIoTやクラウド、スマートフォンやインターネットの普及などが挙げられます。これらの技術により多くの一般消費者から、その行動や興味などの傾向をデータとして集められるようになりました。
データの管理・分析・活用に関しては、DWHやデータレイクなどによるビッグデータの保管、BIによりデータの処理や分析が容易になったことなどが挙げられます。
これらの技術・ツールが普及し、廉価になったのも、一般企業がデータサイエンスに取り組めるようになった大きな要因でしょう。
ビジネスへのデータ活用が一般的になったため
先述の通り、テクノロジーの進歩によりビッグデータの活用は容易になりました。これまでは技術や資金などの問題でデータ活用が難しかった組織でも、テクノロジーやシステムがより扱いやすくより廉価になったことで、データサイエンスに取り組めるようになったのです。
データサイエンスのビジネス活用は、IT分野の企業やスタートアップのような先進的な企業、資金力のある大企業からはじまったのでしょう。彼らがデータ活用により業務の効率化やマーケティングの強化などを行っているのを見て、それ以外の企業も「データサイエンスに取り組んでみよう」という意識になったはずです。
「データサイエンスに取り組んでいる」という意識がない企業でも、何かしらの方法でデータ活用はしているはずです。
たとえばCRMによる顧客管理やMAによる見込み客の獲得・育成、オウンドメディアのアクセス分析など、ビジネスシーンにおけるデータ活用は社会に浸透したといえます。
データサイエンスの活用方法
データサイエンスでは大きく4つの方法に分けてデータを活用します。
データサイエンスの活用方法
- データを記録・分析し、何が起こっているのか明らかにする
- 複数のデータを活用し、事象を掘り下げる
- 履歴データを活用し、将来を予測する
- 予測したことへの対応策を導き出す
データを記録・分析し、何が起こっているのか明らかにする
データサイエンスでは、データを記録・分析することで、何が起こっているのかをまずは明らかにします。集めたデータを数値からグラフや表、説明などに変換することで、データが人間にとってわかりやすいものになります。
たとえば客数の増減を月ごと、シーズンごとにグラフ化することで、1年を通したパフォーマンスの変化を把握しやすくなるでしょう。
複数のデータを活用し、事象を掘り下げる
複数のデータを組み合わせて活用することで、起こった事象について深く掘り下げることができます。ここではドリルダウンやデータマイニング、データディスカバリーなどの手法が用いられます。
たとえば先述の客数の増減を示したデータを、月・シーズンごとのイベントや客層などのデータと結びつけることで、「客数が増えたのはなぜか」が見えてくるでしょう。
履歴データを活用し、将来を予測する
これまで起こった事象について記録した履歴データを活用することで、将来を予測できます。ここでは先述の「複数のデータを組み合わせ、事象とその原因を明らかにしたデータ」が役立つでしょう。
たとえば客数の増減がどのようなイベントと関連しているのか、どの月にどの客層が多いのかなどの履歴データを活用することで、1年を通した客数の増減や客層の変化を予測できます。
予測したことへの対応策を導き出す
将来を予測し、答え合わせをするだけでは意味がありません。ビジネスにおけるデータサイエンスで重要なのは、予測を活かして対応策を導き出すことです。将来起こりそうなことを予測し、どのような対策を取るのが最適なのか、データを使って導き出すのです。
先述の客数の増減や客数の変化などの予測は、マーケティングやターゲティング、人材配置などに活かせるでしょう。「この月は女性客が多いから、広告のテイストを変えてみる」「この月は客数が多く回転率も高いから、人員を多めに配置する」などの対策ができます。