目次
マツダロータリー軍団との激闘と、L型メカチューンへの誘惑
後年の「気難しい」「レプリカが多い」印象も
マツダロータリー軍団との激闘と、L型メカチューンへの誘惑
そのうちトヨタ1600GTに代わり、国内レースへも参戦してきたマツダロータリー軍団を迎え撃つようになると、2ドアハードトップ化の恩恵は明らかになります。
最初の刺客だったファミリアロータリークーペは、直線こそパワーと前面投影面積の小ささ(空気抵抗が少ない)で強引にGT-Rを抜き去るも、基本はチープな大衆車ベースが災いしてコーナーワークは全くの問題外で、第2の刺客カペラは少々大きく重すぎ。
しかし第3の刺客サバンナ(RX-3)で理想に達したマツダロータリー軍団によって、スカイラインGT-Rは容易に勝てなくなり、幾度も煮え湯を飲まされました。
そうなるとS20エンジンのさらなるパワーアップを検討せねばなりませんが、そこで気になるのは同じ日産のフェアレディZです。
当初、スカイラインGT-Rと同じS20エンジンを積むZ432を開発、スポーツカーレースへ投入するも旧プリンス系エンジンを拒むかのように相性は最悪、振動でロクに走れない有様だったのが、日産系のL24を積むと絶好調、普通に勝てるマシンになりました。
それならスカイラインGT-RにもL24を積めば…と、一時はかなりその線で話が進んだものの、計算してみたらどうもスカイラインにL24ではタイムが出ないようです。
あくまで計算上のことなので、実際に載せ替えて走ってみたら案外好調、その後のスカG伝説ならぬGT-R伝説もだいぶ変わったかもしれませんが、計算結果に安堵した旧プリンス開発陣はS20の改良に集中。
最初はL24のように排気量アップを狙い、「S22」ともいえる2.2リッター版を作りますが、結局S22?用に作ったヘッドをS20へ積むだけで問題なくパワーアップすることがわかり、マツダロータリー軍団との激闘はS20のままで続けられました。
それでもロータリーパワーにはかなわず、最終的にはスリップストリームの多用で直線でもなんとか追いすがるほかなかったらしく、末期にはGT-Rで戦う術はほとんどなくなっていたようです。
かつてS54スカイラインGTはポルシェと因縁を作ってスカG伝説を彩りましたが、PGC10/KPGC10ではマツダロータリーと新たな因縁を作り、1990年代には雑誌の企画や漫画など、「R乗りはロータリーに負けちゃダメ(あるいはその逆)」という風潮もありました。
後年の「気難しい」「レプリカが多い」印象も
やがて4代目(C110系)へとスカイラインがモデルチェンジ、環境対策への専念も求められると、PGC10/KPGC10スカイラインGT-Rはレースの舞台から去り、神話のような連勝記録と、公道を走る市販車だけが残されました。
ここまでレースの話ばかり書きましたが、スカイラインGT-Rは歴代「R」と同じく普通に市販されており、その高価さからレース用というより「最上級グレード」として扱われ、ヒーターやラジオなど「オプション全部盛り」で販売された個体も少なくないとか。
また、3連装のソレックス・ツインキャブはしっかり調整しないと気難しく、1980年代には「年老いた狼」扱い。
それでも、エンスー漫画「GTロマン」では、喫茶ロマンのマスターが「ポテンシャルをフルに活かした痛快な走り」で最新鋭車をキリキリ舞いさせる活躍が描かれるなど、名車として一目置かれる扱いには変わりませんでした。
また、ケンメリGT-Rともども「中身はL型、なんなら大排気量で3ナンバーのレプリカ」が作られることも多く、一時はレプリカ製作や部品ストックのため純正部品の枯渇が問題となった時期もありましたが、現在は部品の再販も進み、維持は比較的容易とも。
筆者はイベントで何度も見ていますが、S20エンジンはL型のように気軽なチューンができないなど楽しみの幅は狭く、公道を走った後のアイドリングもなんとなく不機嫌な気がして、やはりとことんまで「レースのため」が染み付いたクルマなのかな…という印象です。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
【関連記事】
・【新車情報カレンダー 2021~2022年】新型車デビュー・フルモデルチェンジ予想&リーク&スクープ
・運転免許証で学科試験の点数がバレる?意外と知らない免許証の見方
・今一番危険な車両盗難手口・CANインベーダーとは?仕組みと対策方法
・SNSで話題になった”渋滞吸収車”とは?迷惑運転かと思いきや「上級者だ」と絶賛
・トヨタ 次期型ノア&ヴォクシーに関する最新リーク情報すべて