任されることこそが仕事の「やりがい」
ーーNatureで実践しているという「ホラクラシー」、役職や階級のないフラットな組織形態はそのコミュニティから学んだものですか?
塩出:それはちょっと違うんです。僕は将来起業するために事業を勉強する目的で三井物産に就職したので、雇用されて働くことはこの1回きりだと思っていました。だから、「会社にどうしてもらうのが従業員は一番嬉しいか」ということをずっと考えていました。
働くなかでわかったことが、裁量を持たせてもらい、仕事を任せてもらえることこそが「やりがい」につながるということ。Natureにとってベストなスタイルはなんだろうかと考えて、やりがいを感じられる組織作り、ホラクラシーに行きつきました。
ーー古い体制・体質のままで変化がない企業と提携する場合などで、そのスタイルが足かせになるようなことはありませんか?
塩出:たしかにフォーマルな肩書きや役職があったほうが先方にわかりやすい場面はありますね。ものづくりをする集団であれば、役職はそんなに気にされないですが、事業を作っていくとなるとそれだけではない部分もあるので、組織のパフォーマンスを最大化するために継続的に仕組みもバージョンアップしていきたいと考えています。
インタビュイープロフィール
塩出晴海(しおで・はるうみ)
Nature株式会社 創業者
1983年生まれ、広島県尾道市向島出身。2006年北海道大学工学部電子工学科卒業。在学中、ウィスコンシン大学マディソン校で1年間の交換留学(Computer Science専攻)やインドのITベンチャーでインターンを経験。2008年には、スウェーデン王立工科大学にてComputer Scienceの修士課程を修了、その後父とともにヨットで3カ月間の洋上生活を送る。
2008年から2014年まで三井物産株式会社に籍を置き、米ITベンチャーの投資管理から東南アジアの電力事業開発までを経験。退職後、米ハーバード大学のMBA課程を修了。ハーバード大学在学中にNature株式会社を創業。