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職人が熟練の技で仕上げたスペックR・VTEC!
4ドアFFスポーツセダンとして成功したDB8
職人が熟練の技で仕上げたスペックR・VTEC!
1995年の3代目マイナーチェンジで追加された、初代インテグラタイプRは、ベース車同様に3ドアクーペ(DC2)と4ドアハードトップ(DB8)の2種類で、型式もベースとなったSiR-Gと同じ。
ただしエンジンはタイプR用のスペシャルなメーカーチューンドとされ、特に話題となったのは「熟練工が手作業でポート研磨」など、クルマ好きなら思わずうなるような手間をかけていたこと。
あのホンダがそれほど気合を入れたなら、間違いはあるまい──というわけですが、実際素晴らしい吹け上がりを魅せたエンジンフィール以上に凄かったのは、その走行性能です。
走りに不要な部分は軽量化し、必要な部分は補強を入れ、クロスレシオ化されたMTによって加速性能が、ヘリカルLSDによってトラクション性能が約束され、どノーマルでもヘタな同クラスFFスポーツが全く相手にならない走り!
その衝撃は、国産スポーツにRB26DETTを積む第2世代スカイラインGT-Rが登場した時と同様で、ライバルを一気に過去の存在へと置き去りにしたのです。
もっとも、「インテグラ」というクルマの本質が変わったわけではないので、タイプR以外はそれまで以上に影が薄い、ハッキリ言えば「えー、このインテグラ、タイプRじゃないの?」と言われるクルマに成り下がってしまったわけですが…。
4ドアFFスポーツセダンとして成功したDB8
なお、初代インテグラといえば3ドアクーペのDC2型がイメージ強いものの、4ドアハードトップ版DB8型もなかなかインパクトが強いクルマでした。
トヨタのコロナ/カリーナや、日産のブルーバードはスポーツイメージがすっかり消え失せていた頃ですし、三菱はFTOと同じエンジンを積むギャランVX-Rやエテルナ ヴィサージュRを大して宣伝せず、どのみちインテグラタイプRより大きく重いので問題外。
しかしDB8インテグラタイプR・4ドアは、3ドアのDC2より少々重くてホイールベースも長かったものの、複数台所有が許されずに競技からファミリーカーまで1台でこなさねばならぬユーザーにとって、ランエボやインプレッサWRXの4ドア同様ありがたいクルマでした。
実際、ジムカーナやダートトライアルなど、モータースポーツのステージでは腕っこきが操るDB8ならDC2と互角の戦いができましたし、それでいて後のFD2(3代目シビックタイプR)のように、4ドアセダンにあるまじきガチガチの足でもありません。
手頃な5ナンバーサイズの4ドアタイプRとして、DB8はもっと評価されてよいクルマだったと思います。