■ 今フランスは、少子化よりも恵まれない郊外問題が深刻

ulala:現在のフランスは「少子化対策」よりも「既にいる人材を働けるように教育すること」に熱心だと思う。

「恵まれない郊外に住んでいる若者」は、教育もちゃんと受けていなくて失業率が高い。そこで学校を退学になったとしても18歳までは何らかの教育を受けることを義務付けることにしたり、亡命を希望する外国人の中で、レストランやホテル業で働くことを希望する方々には滞在許可証を取り易くしようとしていたりする。

今フランスがやっているこれらの取り組みは、日本がやろうとしていることと重なる部分がある。

■ どうすれば、研修を実りあるものにできたか

MC:自民党の研修、ulalaさんからみてどうすれば実りあるものになって人々が受け入れたと思うか?

ulala:フランス研修を有意義なものにするためには、もっと違う発想で違うところを見てくるべきだったと思う。

例えば、

「恵まれない郊外」を実際に見ること フランスは移民問題に関してもの凄い「先進国」だからその現実をみること 「外国人との共生にはどんな弊害や問題点があるのか」を見ること 「フランスの格差や分断がいかに国をダメにしているのか」を確認すること

など。

『挑戦する力』(松川るい著)からフランス研修の意味を読み解く

一方我々一般国民の側の一部は、自民党女性局がなぜフランス研修に行ったのか、その意図について十分理解していないままに批判して気持ちよくなっているように見える。またこれは主観的な感触に過ぎないが、(ulalaさんを除き)誰も彼もいわゆる「後知恵」(「事後諸葛亮」)での論評をしているに過ぎない。

「想像力の欠如」「投稿時に反応が読めないのは政治家としてどうなのか」などと言うが、それほど皆、SNSでの発信について名人なのだろうか。論難を先導している“言論人”や“ジャーナリスト”と呼ばれる職業人でさえ、失言やフライング投稿にとどまらず、SNSや記事での情報発信に関して名誉毀損や侮辱が裁判で確定している方々も少なくない。つまりプロでさえ過ちを継続的に犯しているのである。況や一般国民をや。

また既に社会評価の大勢が決しているから非難する側にたってなじっているが、本当にそれが賢者・仁者・大人の姿勢だろうか?

一般国民のうち舌鋒鋭く非難している人々は、誰かが言った根拠で誰か言った論難を繰り返して日本の役に経った気分を味わっているだけではないのか?

メディアの論者も読者や視聴者が聞きたい言葉をコメンテーターに繰り返し語らせているのではないのか?

ところで松川るい議員には、2022年6月に発行された著書『挑戦する力』がある。今から1年以上前に、参議院議員選挙直前というタイミングで執筆されたそれには、その来歴や政治家としての考え方が率直に語られている。

通り一遍の批判を表明した方々のうち、これを読み考え方を理解していた人は殆どいなかったようである。なぜなら、もし読んでいたら今回の研修の意図についてもう一段深い理解を基盤として他とは違う考察と批判ができたと思うからである。

そこで、当該書籍から、「子育て・少子化対策」、「義務教育の低年齢化」・「子ども帯同という女性議員としての働き方」に関連がありそうな記述を列挙する。虚心坦懐に彼女を理解しようという意志と能力を持つ読者が自分で考える材料となれば幸いである。

記述の選別自体で既に筆者の主観の混入は免れないが、読者自身の考察を形成していただきたいので、とりたてて筆者の論評や見立てを付加することはしない。また読みやすさのために最低限度小見出し(太字)だけは付加したが、内容は読者諸賢にご判断頂きたい。(以下同書より引用。太字は引用者)

■ 「女性参画推進室初代室長就任と安倍晋三総理」

二〇一四年四月、外務省に女性参画推進室が新設され、私(松川氏)は初代室長に就任した。女性参画推進室の設置の淵源は二〇一三年九月の安倍晋三総理の国連総会における一般討論演説にさかのぼる。安倍総理は一般討論演説で、「女性が輝く社会をつくる」という大スピーチ(略)。

■ 「昭和モデルの活動スタイル」

国会議員になるときに、「私のような、“絶賛子育て中”の女性でもできるような国会議員の活動スタイルを見つける!そうすれば、より多くの女性が国会議員になれるようになるから」と豪語したのだが、実際は難しかった。小学生以下の子育てをしている女性には、バックアップ体制がよほどないと国会議員を続けるのは難しい。 「議員の妻」は、ほぼ一つの職業だ。だが、「議員の夫」が地元周りをしているというのは聞いたことがない。私のような共働きで子育て中の女性は、どうするのが正解なのだろうか。