「離婚王国世界10位」の米国(国連統計局2014年データ)で、離婚率の高い職業・低い職業が存在するという意外な事実が、米ラドフォード大学の調査から明らかになった。まずは両ランキングから見てみよう。

離婚率の高い職業トップ15

15位 メイド、家政婦 26.38%
14位 屋根職人26.85%
13位 ウェイトレス、ウェイター 27.12%
12位 テレマーケター 28.10%

10位 ポーター、コンシェルジュ 28.49%
10位 エンターテイナー、パフォーマー、スポーツ選手 28.49%
9位 看護人、在宅介護者28.95%
8位 テレフォン・オペレーター 29.30%
7位 工場労働者(食品・たばこ) 29.78%
6位 賭博場のサービス係 31.35%
5位 スロットマシーン・オペレーター 32.74%
4位 賭博場の窓口出納係 34.66%
3位 マッサージ・セラピスト 38.22%
2位 バーテンダー 38.43%
1位 ダンサー、振付師 43.05%

離婚率の低い職業トップ10

10位 保存修復科学者 7.40%
9位 原子力エンジニア 7.29%
8位 足治療医 6.81%
7位 セールスエンジニア 6.61%
6位 宗教活動家 5.88%
5位 聖職者 5.61%
4位 輸送&鉄道公安官 5.26%
3位 検眼師 4.01%
2位 農業技術者 1.78%
1位 メディア・通信設備従事者 0.00%

改正版には弁護士なども追加ランクイン

このランキングは米ラドフォード大学の研究員、ショーン・マッコイ氏とマイケル・アーモット氏が、数々の人口統計、国勢調査、世論調査、調査研究に基づき2008年に共同作成したものだ。2016年の修正版には「介護士(33.3%)」「ゴミ収集作業員(35.7%)」などが追加され、全体的な離婚率にも多少の変動が見られる。

補足資料が少なく、離婚率に影響する原因の分析などがなされていない点が残念だが、興味深い結果であることは疑う余地がない。またランクインした職業にかなり偏りが感じられる反面、妙に納得できる部分も多い。

離婚原因トップ5 「冷えた関係」で7割が別離

まずは米国人にとってなにが離婚の引き金となるのかを探ってみよう。「Divorce USA」の調査からは、関係が冷えた(73%)、口論が絶えない(56%)、浮気(55%)、結婚するには若過ぎた(46%)、相手に期待し過ぎた(45%)が、離婚の5大原因として挙げられている。

第三者の立場から見るとこれらの問題はお互いの努力次第で回避できそうな印象を受けるが、当事者たちにとっては「どうしても回避できなかった」がゆえに、離婚という結末を迎えたことになる。

この調査からは興味深い結果がもうひとつ報告されている。回答した男性の31%が「もっと努力していれば離婚を回避できた」と後悔している反面、74%が「別れた妻がもっと努力してくれれば離婚せずにすんだ」と答えている。また女性も13%が自らの努力不足を悔いているが、やはり65%が離婚した主人の努力不足と答えている。

離婚に至る経過というものは当事者にしかわからないケースが多いが、夫婦問題の根底にある「お互いに理解しきれない、許しあえないなにか」が、こうした回答結果に反映されているように思える。

異性と接する機会、勤務時間などが離婚率をアップさせる?

それではランキング結果を筆者なりに分析してみよう。例えば離婚率が最も高いとされるダンサーや振付師、マッサージセラピストは、通常よりもはるかにスキンシップの多い職業だ。離婚原因の2位に浮気がランクインしていることを考慮にいれると、やはり不誠実な行動に傾いてしまうチャンスが多い職業ということになるのだろうか。

ダンサーが踊りのパートナーと、セラピストがクライアントと恋愛におちいるケースはけっして珍しくない。お互いに独身であれば障害はないのだろうが、既婚者であれば離婚に発展するリスクは高い。

上位にはギャンブルとアルコール関連の職業が数多くランクインしている。アルコールや賭博で気持ちがゆるんでいる人々に囲まれていれば、やはり「うっかり」という誘惑に負けそうになることも多いだろう。また夜間勤務は生活リズムがパートナーとは真逆になりやすいため、一緒に過ごす時間も少なくなり、やがて関係が冷めていくことになるのではないだろうか。

ランキングを見るかぎり、異性と接する機会が多く、勤務時間が不規則、あるいは長時間という職業が高離婚リスクにさらされている印象をうける。
 

メディア・通信設備関連は離婚リスクゼロ?「賢い選択」で離婚を回避

逆に離婚率の低い職業の特徴や共通点はあるのだろうか。聖職者、宗教活動家以外は「説得力のある理由が思い浮かばない」というのが筆者の本音である。これらの職業に就いている人々の多くが家族思いで夫婦円満なのか、あるいは「なにがあっても離婚はNG」という一途な性質の人が多いのだろうか。「多忙過ぎて離婚を考える暇すらない」という線も考えられる。

職場でも私生活でも常に一緒という結婚28年目の検眼医夫婦は、「賢い選択ができる」ことを離婚低リスクの条件に挙げている。あらゆる離婚要素を天秤にかけ「一人になるのと二人で暮らしていくのでは、どちらが幸せか」を冷静に長い目で判断できるということだろうか。また検眼医仲間では「再婚相手を見つけてから離婚する」というチャッカリ者もいたそうだ。これも「賢い選択」のひとつなのだろう。

最も気になるのは、調査結果では離婚率がゼロという快挙を成し遂げたメディア・通信設備関連の職業だ。昨年発表された米求人サイト「Vault」による社内恋愛(不倫関係を含む)ランキングでも、不動産や法律関連の職場と並び「出会いの少ない職業」の首位に輝いていた。そうかといって「メディア・通信設備関連の人と結婚すれば、少なくとも浮気で離婚するリスクが低くなる」と解釈するのはあまりにも単純過ぎるだろう。

言うまでもなく、このランキングはあくまで一部の離婚率を調査したもので、すべての夫婦に該当するわけではない。離婚リスクの低いパートナーを見つけたいのであれば、「離婚しやすい・しにくい職業がある」という程度の参考にしてみるのもいいだろう。

結局のところ、結婚生活を築いていくのは夫婦そのものだ。仕事が夫婦生活におよぼす影響は大きいはずだが、それを常に念頭に置き互いを思いやる気持ちを忘れないことが、結婚生活を長続きさせる唯一の秘訣になるのではないだろうか。
  文・アレン・琴子(英国在住のフリーライター)/ZUU online

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