アムステルダムの美しい運河沿いにある「Foam(フォーム)」では、アート写真から報道写真まで、多彩なジャンルの写真作品を鑑賞できます。今年開催された写真家アーネスト・コールの展覧会の様子とともに、Foamの展示や活動についてご紹介します。
目次
世界的な写真家の作品を展示
伝統とモダンが調和した建物
世界的な写真家の作品を展示

「Foam(フォーム)」は、アムステルダムのカイザー運河沿いにある写真美術館です。アート写真や歴史写真、報道写真、ファッション写真など、さまざまなジャンルの展覧会が開催されています。世界的に有名な写真家や、新進気鋭の写真家の企画展も人気で、訪問するたびに新しい発見と感動があります。
ロバート・キャパらとともに国際写真家集団「マグナム・フォト」を結成したアンリ・カルティエ=ブレッソンや、ファッション誌『ヴォーグ』で活躍したヘルムート・ニュートンやウィリアム・クライン、中国政府の人権侵害を非難する艾未未(アイ・ウェイウェイ)などの大規模な展覧会も開催されています。
Foamはアムステルダムの中心街にありながら、ガイドブックでは大きく紹介されていない美術館なので、静かにゆっくりとアートを満喫できます。私にとっては、事前に興味がある展覧会をチェックして訪問したり、中心街を散策中にふと立ち寄ってみたりする、隠れ家的スポットです。
伝統とモダンが調和した建物

Foamの建物は17世紀の住宅を改築したもので、現在のイタリア風のファサードは1861年に完成しました。1993年まではフォドル美術館、2000年まではオランダ・デザイン研究所として使用され、2001年にFoamがオープンしました。
Foamのオープンにあたって改築工事を監修したのは、2012年にアムステルダム市立美術館の奇抜な新館建築で注目を集めたベンサム・クローウェル・アーキテクツです。古典的な外観はそのままで、館内には鉄骨階段やガラスブロックの床などが用いられ、現代的な美術館が誕生しました。

展示空間はシンプルで動線もスムーズに続き、作品に集中できる環境です。時おり、ふと現れるもともとの建物で使用されていた木製の窓枠やレンガの壁、大理石の暖炉などが、心地よいアクセントになっています。