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本当にこれで乗り降りするの?!それでいいの?
本当にそこへエンジンやバッテリーが?

本当にこれで乗り降りするの?!それでいいの?

「夢どころか寝言?」ベンチャー企業が“インパクト”重視のみでクルマを作るとこうなる?ロレモのコンセプトカー【推し車】
(画像=ステアリングごとフロントカウルをガバっと開いて、ヨッコラショ!と前席へアクセスするのは文字通り「ハードルが高い」。 
flickr.com Author:hmboo Electrician and Adventurer CC BY-SA 2.0、『MOBY』より引用)

2006年のジュネーブショーに小さく構えたロレモAGのブースで発表された、ベースモデル「ロレモLS」のモックアップは、3気筒ディーゼルターボを搭載して空気抵抗がいかにも少なそうな、文字通りの「低抵抗モバイル(今風に言えば「モビリティ」)」でした。

二酸化炭素の排出量はマイクロカーのスマートより小さく、ガソリンでもディーゼルでもハイブリッドでもEVでも、とにかく燃費(電費)を良くすれば未来は明るい…という触れ込みですが、来場者の目を引いたのはその乗降方式。

何しろ左右にドアがなく、前ヒンジで開くフロントカウルと、そのへんのファストバック・クーペへ普通についていそうなリアハッチしか乗降できそうなところはありません。

デモンストレーションでは、握って力をこめたステアリングごとフロントカウルが前に開き、前席にはボディとの隙間から乗降できるようですが、後に公開された走行動画ではどうもフロントカウルとステアリングが連動しておらず、予定通りにはいかなかったようです。

ならば後席はどうかといえば、リアハッチからそのまま腰をドスンとシートへ…そう、後席は前席と背中合わせで後方を向いているので、後ろから乗っても差し支えないことになっています。

最近だとテスラのモデルSもそうでしたが、後席後方に背中合わせの補助席を持つ3列シート車は珍しくないため、この方式もアリといえばアリですが、スマートとは言い難いような?

本当にそこへエンジンやバッテリーが?

「夢どころか寝言?」ベンチャー企業が“インパクト”重視のみでクルマを作るとこうなる?ロレモのコンセプトカー【推し車】
(画像=乗ったら乗ったで前席もかなり狭くて卑屈そうで、居住性より空気抵抗の減少や軽量化が第一という感じ。
flickr.com Author:loremo CC BY-SA 2.0、『MOBY』より引用)

狭いキャビンの中央に乗員を背中合わせに載せ、前後の低い位置へ足元を向けることで、どうにかコンパクトな4人乗りスポーツカーでまとめたロレモLSですが、そうなると「じゃあエンジンはどこにあるの?」が気になるところ。

後輪の前にエアインテーク(吸気口)があるのでミッドシップだろうと想像はつきますが、背中合わせの前後席間フロア下へエンジン、またはハイブリッドシステムかバッテリーが格納されるようです。

ただし、EV版のテスト走行でも後席を潰して何かの機器を搭載しており、実際に4名フル乗車と動力源の搭載を両立できたのか、断定できる資料はありません。

一応、まだ共同創業者たちが在籍していた頃にはディーゼルターボ車かバッテリー&モーター搭載のBEVとして、後に何者かに買収された後はLPG(液化石油ガス)を燃料としたエンジンで発電し、モーターで走行するシリーズ式ハイブリッドへ改良されたようです。

それでディーゼルターボ時代には100kmあたり軽油2L、日本式に言えば50km/Lの燃費を記録したそうで、LPGハイブリッド時代の2012年には5kgのLPGで1,500km走れる計算と称していますが、それを立証するテストは行われませんでした。

ひとつだけハッキリしているのは「BEVとしてはナンバーをつけて公道も走った映像が残されている」ことです。