BCGの効果はツベルクリン反応で
ここで気になるのは、「BCG接種の効果が今の自分に残っているのか?」ということである。
それについては、「ツベルクリン反応検査」で大まかに知ることが出来る。ツベルクリン反応検査とは、結核菌の分離培養液の一部を皮膚に注射し、その反応をみる検査のことだ。BCGの効果が残っているなら、体内のT細胞などの自然免疫がツベルクリン液に反応し、注射部位の皮膚が赤くなったり固くなったりする。そうでない場合は反応が出ない(このツベルクリン反応自体がBCGのように自然免疫を強化することもあるという)。
このツベルクリン反応検査は平成15年まで、小学校1年生、中学校1年生対象に行われてきたので、経験したことのある方も多いかもしれない。副作用もほとんどない簡単な検査なので、最寄りの病院でも検査ができるだろう。
まとめ
以上をまとめると、
- BCGが新型コロナの感染予防に9割の効果があるという論文が出た。アジアで新型コロナの被害が桁違いに少ない理由はBCG接種の違いなのかもしれない
- BCGはウイルス特異的な「抗体」を産生するのではなく、全てのウイルス・細菌に対する自然免疫を強化する(訓練免疫)
- 今回の論文には限界もあるものの、これが本当なら新型コロナワクチンと同程度の効果が少ない副作用で得られることになる。何より日本人は多くがすでに免疫強化済みということになる。
- BCG効果はツベルクリンでわかる
BCGの新型コロナに対する前向き研究(RCT)は今回初めて発表されたところでありまだ研究の端緒と言っていいだろう。しかしこれが本当ならこれは費用対効果の面でも、副作用の少なさという面でも、非常に優れた発見と言って良いだろう。
こうした発見はファイザーなどのコロナワクチン先発企業にとっては大きな痛手かもしれない。しかし、広く市民の健康を確保するのが医療の使命であるならば、こうした研究は大事に育てていってほしいものである。既得権益や既存の手法にとらわれることなく今後の研究に期待したいところである。
文・森田 洋之/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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