4WDミニバンの種類

おすすめの4WDミニバン9選!燃費・雪道・安さでおすすめ車種は?
(画像=『MOBY』より 引用)

ひと口に4WDミニバンとはいっても、搭載される4WDの構造や制御によって走行性能や乗り味には違いがあります。まずは車に搭載される4WDの種類を理解しましょう。

パートタイム4WD

スイッチ操作によって、任意のタイミングで2WDを4WDを使い分けられる機構を持つのがパートタイム4WDです。舗装路では2WDで走行することで駆動ロスを最小限に抑え、急な坂道や降雨・降雪時や、オフロード走行時は4WDに切り替えることで安定感ある走りが期待できます。

ただし、車によっては4WDの状態で舗装路を走行時すると、ハンドルを大きく切り込む状況下でブレーキがかかったように減速したり、曲がらないといった症状が発生します。これを「タイトコーナーブレーキング現象」といい、前輪と後輪で発生する回転差を吸収できない前後直結構造のパートタイム4WDのみで起こる症状です。

フルタイム4WD

フルタイム4WDは、常時4輪に駆動力を伝えて走る4WDシステムです。前後輪の回転差を吸収するセンターデフを設けることでタイトコーナーブレーキング現象を解消し、路面状況を問わず各輪に適切な駆動力を分配できるため、幅広い状況で走行安定性の向上と空転や横滑りを抑えるのに効果的です。

ただし常に4輪で駆動しているため、駆動抵抗の増加によって燃費も悪化しがちです。

スタンバイ4WD(オンデマンド4WD)

機械制御もしくは電子制御によって自動で4WDに切り替わる機構をもつものは「スタンバイ4WD」もしくは「オンデマンド4WD」と呼ばれます。これらは平時は燃費がよい2WDで走行し、スイッチ操作や一定条件下で4WDに切り換わることで、燃費性能と安定性の両立が図られた4WDシステムです。

機構が単純で安価なビスカスカップリング式4WDは、前後輪に回転差が発生してから大きな駆動力が伝わりはじめるため動作反応が遅く、雪道走行の補助程度の性能に留まります。

電子制御油圧クラッチなどを用いるスタンバイ4WDは、高価な代わりに車体に備わったセンサーからの情報を加味し、状況に応じて各輪に適切な駆動力を分配するように制御されるのが特徴です。制御によっては、走行安定性向上はもちろん、運転特性を大きく変化させられる可能性も秘めています。

電動式4WD(電気モーター式4WD)

駆動力が損失するプロペラシャフトを介さず、モーターでタイヤを駆動する形式の4WDは「電動式4WD」もしくは「電気モーター式4WD」と呼ばれ、ハイブリッド車向けの4WDは電動式が主流になりつつあります。

電動式4WDの特徴は、モーターの特性を利用した緻密な駆動力コントロールが可能な点です。スイッチによる任意の切り替えやドライブモードと連動して、発進時や滑りやすい路面やカーブ走行時、高速走行時など必要に応じて駆動力を最適に制御してくれます。ただし、路面に伝えられる駆動力は搭載されたモーターのトルクが上限です。

このほか日産「e-4WD」のような、低出力モーターを最低限の容量のバッテリーで駆動するコンパクトカー向けの簡易的な電動式4WDも存在します。

4WDミニバンを購入するメリット・デメリット

おすすめの4WDミニバン9選!燃費・雪道・安さでおすすめ車種は?
(画像=@xiaosan/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

走行が難しい路面状況を走らせるのに適しているのが、4WDシステムを搭載したミニバンです。アスファルト未舗装の道路だけでなく、積雪状態やぬかるみができた道、凍結した路面で抜群の性能を発揮できるようです。

この章では、4WDシステムを搭載しているメリット・デメリットを解説しています。

4WDミニバンを購入するメリット

4WDミニバンを購入するメリットに挙げられるのは次の3点です。

  • 発進性能に優れている
  • 走行安定性が抜群
  • 沼地などでのスタックを防げる

メリット①発進性能に優れている

FF、もしくはFR(後輪駆動)と、前後どちらかの車輪が働いて走る2WDレイアウトの車では、駆動力がかかっていない側の車輪が空回り(空転)する恐れがあり、坂道発進などで上手に進めないケースがあります。

一方、4WDシステムを使っているミニバンであれば、4つの車輪すべてにエンジンを起点とした駆動力が伝わる仕組みです。アクセル操作を行って発進すると、4つの車輪にかかる駆動力を使って前へ進めるため、坂道発進での不安が軽くなります。

さらに、乗っている人数や積んでいる荷物が増えるほど4WDシステムを使っている効果が明確となり、エンジンを起点として車輪に伝わった駆動力で平地でも坂道でも難なく走れるでしょう。

メリット②走行安定性が抜群

4WDシステムは大きくわけて次の種類が存在します。どのような路面状況でも4つの車輪に駆動力がかかる「フルタイム4WD」と、レバーやスイッチによって車輪への駆動力が2つあるいは4つにかかるよう切り替えられる「パートタイム4WD」が代表例です。

1つ目のメリットでも解説したように、4つの車輪へ駆動力をかけられるのが強み。直線道路やカーブなどの“土地柄”をはじめ、「乾いている」「滑りやすい」などの異なる路面状況でも駆動力を活かして安定した走行が可能です。

また、アクセルから足を離してエンジンブレーキを使いつつ減速する際も、4つの車輪に駆動力がかかっているため安定性を損なわずに済みます。高速道路や山坂道で4WDシステムを使っている車のメリットが活かせるでしょう。

メリット③沼地などでのスタックを防げる

アスファルトで舗装されていない道路を走行すると、途中に存在する沼地に足を取られて、車がスタック(※1)してしまう恐れがあります。

4WDシステムを使用した車には「デフロック」(※2)と呼ばれる機能が搭載されているケースが多いです。スタックした際にデフロックを使えば、沼地から脱出するのを手助けしてくれるでしょう。2WD仕様の車にはない仕組みとなるため、4WDシステムを選んでよかったと、安心感を得られるのではないでしょうか。

(※1:英語で「身動きが取れなくなる」という意味)

(※2:「デファレンシャルギア」と呼ばれる車体左右の車輪に生じる“内輪差”を調節する構造を、車種に搭載されているスイッチやレバーで止めてしまう機能のこと)

4WDミニバンを購入するデメリット

4WDミニバンには、購入するメリットがある一方で、デメリットも存在します。主に挙げられるのが次の2点です。

  • 車両価格が2WDより高い
  • 燃費が2WDより悪くなる可能性がある

デメリット①車両価格が2WDより高い

2WD仕様の車種よりも使用パーツが多くなる分、車両価格が高くなるケースが多いです。さらに、電子制御が加わった4WDシステムを使用しているモデルなら、価格がより一層引き上げられるでしょう。

デメリット②燃費が2WDより悪くなる可能性がある

フルタイム4WDシステムを仕様している車種であれば、2WD仕様の車種と異なって常に4つの車輪に駆動力がかかっている状態のため、余分な燃料を使ってしまいます。2WD仕様の車と比較して燃費数値が見劣りするケースが多いようです。

上記の2点を頭に入れると、4WDシステムを搭載した車でなければならないのか検討するのに役立つかもしれません。