自動車保険の保険金水増し請求問題に揺れる中古車販売大手ビッグモーターで、一部店舗の担当者が顧客への納車時に「環境性能割といって所得税なんですけど納期の際に頂くことは難しいでしょうか?」とするメールを送付していたことがわかった。事前に環境性能割について説明を受けていなかった顧客は困惑しているという。不正請求問題をめぐっては、すでに国土交通省が道路運送車両法に基づき同社への立ち入り検査を始めているが、損害保険会社に提出する契約書類で顧客が自筆で記入すべきところに同社の営業担当者が勝手に代筆をしたり、個人が所有していない車両について虚偽の自動車保険契約を捏造して損保会社から販売手数料を得るなど、次々と新たな不適切行為が発覚している。こうした行為は中古車業界では広く行われているものなのか――。
昨年に不正が発覚して以降、沈黙を守っていたビッグモーター経営陣は25日、騒動後初となる会見を開き、兼重宏行社長と長男の兼重宏一副社長が辞任することを発表。和泉伸二前専務が社長に就任したが、その和泉社長が会見当日に全社員向けに「会社支給携帯に入っているLINEのアカウント削除をしてください」とするメールを送付していたことが発覚。同社では役員と店長らが入るグループLINE内で役員が店長に罵声を浴びせるなどの行為が常態化しており、証拠隠滅ではないかという指摘が相次いだ。
その後も、同社の企業体質に根差す問題が次々と発覚。下請け会社に対して従業員や家族の保有する車の車検時期など個人情報の提供を強く要求したり(26日放送『情報ライブ ミヤネ屋』<読売テレビ>より)、無償での作業を強要したり(同)、保険金の不正請求先である損害保険ジャパンに提出した報告書で書き換えを行っていた(26日付「テレ朝news」記事)ことが明るみに。以前から指摘されていた、税金で整備された店舗前の街路樹に除草剤をまいて枯らしている疑惑については、会見で和泉新社長は「かれこれ10年くらい前の話」と説明していたが、28日には一部店舗で現在も行われていたことを認めた。
このほか、ビッグモーターの店舗では日常的に、車両にナンバープレートを付けず、その代わりに社名と会社のロゴが入ったプレートを付けて公道を走行させていたことも明らかになっている。道路運送車両法では「自動車登録番号標交付代行者から交付を受けた自動車登録番号標及びこれに記載された自動車登録番号を見やすいように表示しなければ、運行の用に供してはならない」と定められており、違法行為に該当する。