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- 各国のパートタイム雇用率
前回は、ドル換算方法の違いによる1人あたりGDPの各国比較についてご紹介しました。
日本は購買力平価換算だと、既に韓国よりも低く、為替レート換算では2021年→2022年で大きく減少しています。
いずれにしろ、日本の経済水準が主要先進国の中でもかなり低くなっているのは事実のようです。
今回は、パートタイム雇用についての各国比較をしてみたいと思います。
日本では、家計を支えるためにパートタイムで働く女性が多いと言われます。他国と比較する事で、このようなパートタイム雇用の水準は果たして日本特有なのかどうかが相対化できるのではないでしょうか。
パートタイムも含む日本の雇用形態別労働者シェアについては、以下の記事でもご紹介していますので是非ご参照ください。
参考記事: 男女の推移 非正規労働ばかり増える日本 参考記事: 男性の世代別変化 男性でも進む非正規化 参考記事: 女性の世代別変化 非正規ばかり増える女性労働者
OECDによるパートタイム雇用(Part-time employment)の定義は、「本業で労働時間が週に30時間未満の労働者(従業員、自営業者含む)」となります。
全労働者に占めるパートタイム雇用の割合がパートタイム雇用率となります。
今回は男女合計、次回は男性、その次は女性と順番にご紹介していきます。
図1 パートタイム雇用率 15~64歳 男女合計OECD統計データ より
図1は15~64歳の現役世代について、男女合計のパートタイム雇用率を比較したものです。
オランダが突出していたり、スイスが比較的高い水準なのが興味深いです。
日本は2000年頃はカナダやドイツ、イギリスよりも低い水準でした。
他国はこのあたりからパートタイム雇用率が停滞あるいは低下傾向が続いています。
日本は逆に増加傾向が続いていて、近年では22%程度とドイツ、イギリスよりも高い水準です。
とても印象的なのが、かつてはカナダやイギリスなどの方が日本よりもパートタイム雇用率が高かったという事ですね。
特に女性で家計の補助のためにパートタイムで働くというのが、日本独特の文化なのかと思っていましたが、全体で見れば割合としてはそれほど突出しているわけではなかったようです。
ただし、近年は増加傾向が続き主要先進国で最も多い割合となっていて、他国の傾向(停滞・減少)とは異なるのも興味深いですね。
日本は高齢労働者の増加により非正規労働者が増えている面もありますが、現役世代だけ抜き取ってもこのような状況のようです。
図2 パートタイム雇用率 全年齢層 男女合計OECD統計データ より
図2は現役世代に限らず、全年齢層のパートタイム雇用率を比較したグラフです。
傾向はあまり変わりませんが、高齢層の労働者が増えている日本と韓国の水準が一回り高くなっているのが特徴的です。
他国が減少・停滞傾向なのに対して、この2国は上昇傾向です。
ドイツは2004年以降、イギリスは2012年以降、フランスは1997年以降停滞・減少傾向です。