ビッグモーター、現在も年収1109万円を提示し人材募集…転職サイトでオファー
ビッグモーターの店舗。編集部にて一部加工(「Wikipedia」より/Asanagi )(画像=『Business Journal』より 引用)

 自動車保険の保険金水増し請求問題に揺れる中古車販売大手ビッグモーターが、謝罪コメント発表後の現在も平均年収1109万円を提示して新規の人材募集を行っていることがわかった。同社は全国の店舗や整備工場に対して過大な営業ノルマを課していた事実が判明しているが、募集要項には「押し売りナシ&ノルマもナシ」と書かれており、さらに社員の最高年収が5040万円であることも謳われており、同社の姿勢が問われそうだ。

 顧客から事故車の修理を請け負った際に、故意にゴルフボールを入れた靴下を車体に打ちつけて傷を付けたり、ドライバーで車体に引っかき傷を付けたりし、損害保険会社に自動車保険の保険金を水増し請求していたことが発覚したビッグモーター。問題が表面化したのは昨年。大手損保会社の損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、東京海上日動火災保険の3社に水増し請求を行っていたと各メディアで報じられたが、ビッグモーターは当初、組織的関与を否定。批判の強まりを受けて今年1月に特別調査委員会を設置し、「お客様、お取引先様をはじめ関係する皆さまに多⼤なるご不安・ご⼼配をお掛けしますことを⼼よりお詫び申し上げます」とする「お知らせ」を発表したが、その後も積極的にCMを放送し続けていた。

 調査委員会は今月7日に報告書をまとめたが、損保会社各社には報告書の抜粋版のみを提出し、悪質な行為の内容や経緯を省略。さらに報告書の内容を一般向けに公開せず、批判の強まりを受けて18日にようやくHP上に公開。「お客様、損害保険会社様及びお取引先様、そのほかステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」との謝罪コメントを掲載したが、同社の公式サイトのトップページでは下のほうにある「インフォメーション」に小さく表示されるのみで、トップページ上部の目立つ部分には現在も、大きく「クルマを売るならビッグモーター」「6年連続買取台数日本一」「安心BIG車検は年間26万台の車検実績」などの宣伝文句が躍っている。

 ここへきて新たな事実も次々と判明している。19日付「テレ朝news」記事によれば、車検を行う整備部門が保険会社に不正請求をするために、顧客から預かった自動車のタイヤにドライバーとネジで穴を空けて自然にパンクしたように見せかける方法を指南する動画を作成しているという。また、バッテリーを新品に交換するとして代金を受け取ったものの、実際には新品に交換していない事例もあるという。

 背景には、本社から店舗や工場が課される高いノルマがある。調査委員会がまとめた報告書によれば、修理1台当たりの工賃と部品から得る粗利の合計金額が14万円になるようノルマが設定されているという。また、19日付朝日新聞記事によれば、店舗の営業担当者は買い取りと販売の月間台数5台ずつというノルマが設定されており、達成できないと上司から厳しく叱責されることもあるという。