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住民の心のよりどころだったお城
ルネッサンス期のフランドル風庭園
住民の心のよりどころだったお城
戦後1946年、北部の実業家ジャン・モラエル氏がベルジュロ家から城を購入します。同家は、1980年代の終わりまで城と敷地を管理・維持しました。当時を知る村民たちの回想によれば、村のお祭りや行事はいつもお城で行われ、庭園は村の子供たちの遊び場でもあったのだそうです。敷地内にあったエスケルベック唯一のテニスコートに学生が練習に通う例もあったそうで、エスケルベック城は、個人の所有物でありながらも、村民たちにとって村の象徴ともいえる大切な存在であり続けました。

そのため、1984年に城のドンジョンが老朽化で崩落した時は、村の誰もが大きなショックを受けました。126段の階段を備えるドンジョンはお城の中庭側に建っていましたが、その崩落は住居部分にも大きな被害を与えます。建築の安全性が認められず、城内の居住は禁止となり、結果として、その後約35年も城は放置されてしまいます。

それでも、1987年には国の歴史的建造物の指定を受けました。また、モラエル家の縁者や、城の復興を願う人々が発足した「友の会」の尽力により、今世紀に入ってからこつこつと修復が進められ、やっと公開にこぎつけたのが約5年前のことです。
ルネッサンス期のフランドル風庭園
現在は、修復を終えた城の一部分と庭園と森林公園の見学が可能となっています。庭園は1ha、森林公園は5haで、お濠に囲まれた城を見守るように広がっています。

1600年~1640年の間に造園されたと考えられるこの庭園は、生垣で幾何学的に仕切られた土地に、梨やリンゴのほか、野菜や薬草などが植えられています。5haの森林公園の方には遊歩道が整備され、現代アートの展示などにも使われています。
城も庭園も完全な修復まではまだ時間がかかりそうですが、だんだんに輝きを取り戻している様子がうかがえます。なお、前庭に残る鳩舎は1606年のもの。こちらもどうぞお見逃しなく。

エスケルベック城と庭園
- 庭園開園日:5月半ば~10月末 木~日 12:00~18:00
- お城開館日:6月~9月 日曜 15:00~18:00
- 庭園入場料:5ユーロ(12歳未満は無料)
- お城入館料:5ユーロ(12歳未満は無料)