埼玉地区を全国2位に引き上げた「決意と志」
それから、仕事への態度はもちろん、読む本などのインプットも変わりました。すると昇進試験にも難なく合格し、その直後、埼玉地区の責任者に昇格。志を買われたのだと思います。
全国に32カ所あった販売拠点中30~31位だった業績も、ベスト10に入るまでに上がりました。ところが、2007年5月の連休前、本社の役員に呼び出されて、「うだつが上がっていないじゃないか」と言われました。当時38歳の私は懸命にやっていると強く主張しました。
けれども、「埼玉という良い地盤を担当し、良いスタッフもいるのに、『埼玉を変える』と言いながらベスト10で満足している」という指摘には、その通りだと思いました。そこで、埼玉の底力を見せようと、与えられたよりも高い目標を自主的に設定。役員には「5日ごとに進捗を報告します」と、頼まれてもいないのに宣言しました。
もちろんスタッフの反発もありました。しかし、緻密に組んだ営業計画を実行し、成果が出ると、自信をつけ、自分たちからアイデアを出すように。私の到達目標が低かったせいで、彼らの能力を発揮させていなかったのだと気づきました。
結果、5月の業績は自主目標も超えました。進捗を報告していた役員からは、5月31日に初めて返信があり、そこには「やっと仕事の仕方を覚えたな」と書いてありました。その後、埼玉の業績は全国2位にまでなりました。
メンバーのやる気と力を引き出すのがリーダーの力。私がリーダーとしての視座を持てたのは、課長昇格試験に落ちてからこのときまでの2年間があったからこそです。
及川美紀(ポーラ代表取締役社長)
(『THE21オンライン』2020年09月10日 公開)
文・及川美紀(ポーラ代表取締役社長)/提供元・THE 21 オンライン
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