チャート:NFPは年初来で最小の伸び、失業率は3カ月連続にて3.6%で変わらず

jr23jun_nfp (作成:My Big Apple NY)

4月分の7.7 万人の下方修正(29.4万人増→21.7万人増)と合わせ、過去2ヵ月分では合計で11万人の下方修正となった。今回分を含め、以前から筆者が指摘し7月に入ってウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も記事に取り上げたように、NFPは労働市場を過大評価している可能性を示す。特に今年に入ってから、NFPは全て下方修正を迎えていた。

チャート:初来のNFPと、修正幅

jr23junrev (作成:My Big Apple NY)

サービス部門のセクター別動向は、11業種中で6業種で増加し、前月の8業種を下回った。今回最も雇用が増加した業種は前月に続き教育・健康、次いで政府、専門サービスが並んだ。一方で情報は横ばい、小売のほか輸送・倉庫、卸売、公益の4業種が減少した。

(サービスの主な内訳)

jr23jun_ss

財生産業は前月比2.6万人増と、3カ月連続で増加した。業種別をみると、建設と製造業が増加した一方で、鉱業・伐採が減少に転じた。詳細は、以下の通り。

(財生産業の内訳)

jr23jun_gs

チャート:セクター別、就労者の増減

jr23jun_sectorsss (作成:My Big Apple NY)

チャート::20年2月との比較、民間サービス部門は前月の3.1%増→3.2%増と15ヵ月連続でプラス圏をたどると共に上げ幅を広げた。政府を含めたサービス部門の11業種中、当時の水準を超えた業種は前月と変わらず、8業種。輸送・倉庫、専門サービス、情報、金融、公益、卸売、教育・健康、小売となる。このうち、卸売と公益、一方で、娯楽・宿泊を始めその他サービス、政府は引き続きマイナスをたどった。

財部門は2.4%増と前月の2.2%増を上回り、14ヵ月連続でプラス圏を守った。建設と製造業はプラスあったが、鉱業・伐採のみマイナスをたどった。

jr23jun_se

jr23jun_sectorsssss

(作成:My Big Apple NY)

平均時給は前月比0.4%上昇の34.3ド ル(約4,800円)と、市場予想と前月の0.3%を上回った。16カ月連続で上昇している。前年同月比は4.4%上昇、市場予想の4.2%を超え、前月の4.4%(4.3%から上方修正)に並んだ。生産労働者・非管理職の前年同月比は4.7 %と、下方修正された前月4.9%を下回り2021年6月以来の低い伸びだった。

チャート:平均時給は、生産労働者・非管理職の前年同月比でピークアウト感が漂う

jr23jun_wagea (作成:My Big Apple NY)

週当たりの平均労働時間は34.4時間と、コロナ禍で経済活動が停止していた2020年4月以来の低水準だった前月の34.3時間を上回った。とはいえ、2006年以来の最長を記録した2021年1月の35時間を下回り続けた。財部門(製造業、鉱業、建設)の平均労働時間が2カ月連続で39.8時間を経て、今回39.9時間に回復、引き続き、コロナ禍で最長となった2月の40.4時間以下が続く。全体の労働者の約7割を占める民間サービスは4ヵ月連続でき33.3時間と、経済活動が停止した2020年3月(32.9時間)以来の低い水準に並んだ。2006年以降で最長を記録した21年5月の33.9時間以下が続く。

チャート:週当たり平均労働時間は、短縮傾向が続く

jr23jun_h (作成:My Big Apple NY)

総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は労働時間が前月から延びたものの、民間就労者数の伸びが鈍化したものの、前月比で0.1%増だった。平均時給の伸びが加速した結果、労働所得(総労働投入時間×時間当たり賃金)は前月比0.5%増と増加トレンドを維持した。

失業率は3.6%と市場予想と一致し。2022年10月以来の水準へ上昇した前月の3.7%を下回った。1969年5月以来の低水準を記録した前月の3.4%を超えた水準を維持した。失業者が前月比14.0万人減ったほか、就業者数が増加していた。一方で、米景気減速が指摘されるなか、自発的離職者数は3カ月ぶりに増加し79.4万人、自発的離職者数に占める失業者の割合も13.2%と、2021年12月以来の低水準から切り返した。

チャート:自発的離職者数は3カ月ぶりに増加

jr23jun_sp (作成:My Big Apple NY)

自発的離職者数が増加した半面、解雇者数(一時的な解雇ではなく再編やM&Aなど会社都合での解雇者、派遣など契約が終了した労働者)は、前月比13.5万人減の205.8万人だった。解雇者数の割合は2021年11月以来の高水準をつけた前月の36.2%から34.3%へ低下しつつ、失業者のシェアで1位を維持した。逆に新規参入者が5.0万人増の55.8万人に増加。一時解雇者も7.5万人増と2カ月連続で増加し、割合は14.0%と自発的離職者の割合を2カ月連続で上回った。

チャート:失業者に占める解雇者の比率、引き続きトップに

jr23jun_spd (作成:My Big Apple NY)