パワフルながら扱いやすいエンジンとシャープなハンドリング

CROSSFIRE 500を目の前にすると、Xのアイコンがモチーフとしてデザインされた燃料タンクはそれなりにボリュームがあるが、シート回りをすっきりとしたデザインとしたことでさほど大きさは感じない。跨ってみるとシート高が795mmということで、両足はベッタリと着く(ライダーの身長は173cm)。ハンドルのポジションも自然に手を下ろした位置にあってワイド過ぎたり、遠過ぎたりしないので日本人の体格でも違和感なく乗れるはずだ。
エンジンを始動すると、なかなか迫力あるサウンドを奏でてくれる。決してうるさくはなく、キレのある並列2気筒のサウンドといった感じだ。
シフトを入れて走り出すと、アクセルの開度に合わせてスムーズに速度が伸びていく。回転を上げていっても急激にパワーが出る感じもなく、実に扱いやすい。もちろん500ccの排気量のエンジンなので十分に速いのだが、手の内で扱いきれそうなパワー感といった感じだ。回転フィーリングも洗練されていて高回転までキレイに回ってくれる。この辺りのフィーリングが雑な味付けだと高回転まで回す気にならないが、このDOHCエンジンは実に気持ちよく回ってくれるのはCROSSFIRE 500の魅力の一つと言えるだろう。スペック的には47.6馬力と突出したものではないが、街乗りから高速に乗っての遠出まで幅広く対応してくれる懐の深さを持つエンジンだ。
そしてハンドリングについてだが、前後17インチタイヤながらコーナリングではフロントがスッと内側に入るようなシャープなハンドリングとなっている。これは意に反して切れ込むということではなく、ライダーの意思に即座に答えてくれるといった領域でのシャープさというフィーリング。ブレーキングからの倒し込みが思わず楽しくなるような味付けになっていると言えるだろう。これもまたCROSSFIRE 500の魅力であり、毎日乗るのが楽しくなるはずだ。
サスペンションは日本のKYB(カヤバ)製アジャスタブル・サスペンションが備わっているが、これが軽快なハンドリングに貢献していると思われる。段差をしなやかに吸収してくれるが、決して柔らかい訳ではなく、自然な動きをしてくれるといった感じ。しっとりとした乗り味を実現してると言えるだろう。加えてブレーキシステムは、スーパーバイクで知られるJ.JUAN製が備わっている点も注目だ。

