多彩な調整機構は他にも

さらに調整可能なパラメーターとしては「MTC+MSR:トラクションコントロール+スリップ制御」(MSRはオプション装備)、「ABS mode」、「Quickshifter+:クイックシフタープラス」(オプション装備)があります。

「MTC+MSR」と「Quickshifter+」はOn / Offの切り替えが可能で、「ABS mode」では「Road:ロード」と「Supermoto:スーパーモト」の2種類から選択。今回ワインディングでは、下記の設定で走行しました。

「MTC+MSR」→On
「ABS mode」→Road
「Quickshifter+」→On

トラコンとスリップ制御はサーキットでスライド走行を多用するような場合以外は基本的にOnで良いかと思います。ABSについても同様の理由でOn推奨。クイックシフタープラスはお好みですが、Onにしたままでもクラッチレバーを使った変速は可能なので、両方使いたい方ならOnのままで問題なし。

ワインディングで気分がアガるクイックシフタープラス

いまやスポーツバイクには欠かせない装備となったクイックシフタープラス。KTM 1290 SUPER DUKE R EVOのクイックシフタープラスはとても使いやすい印象です。低回転でシフトアップする場合はクラッチレバーを使う方がスムースですが、5000回転以上など、高回転キープで走る場合にはクイックシフタープラスを使ってシフトアップする方が加速も途切れず、気持ちよく走れます。人間の操作よりもはるかに早く、そして確実なクイックシフタープラスは、うまく決まるとかなりテンションもアップ!

もちろん、シフトダウンもクラッチ操作なしでペダルを踏むだけです。ただし、ブリッピングをしてシフトダウンすることに慣れているライダーの場合は、シフトペダルだけでギアを落としてコーナーにアプローチしていくリズムを最初は掴みづらいかもしれません。しかし、慣れてしまえば驚くほどライディングに集中できます。もちろん、従来通りクラッチ操作で半クラとエンブレを制御することもできるので、場面に合わせてクラッチを使うかどうかを判断するのも良いでしょう。筆者も今回の試乗中は峠や街中でも適宜使い分けるようにしていました。

ツーリングのシメは猪苗代湖で

磐梯山周辺のワインディングと絶景、そして地元グルメを満喫した筆者とカメラマンは最後の立ち寄りスポットである猪苗代湖へ。穏やかな湖面を眺めながら、これまで走ったルートについて振り返ります。この日は梅雨前の晴れ間ということもあって、お天気は言うまでもなく最高。最高気温も25度程度と、完璧なツーリング日和でした。

筆者とカメラマンはここで分かれて、それぞれ帰路についたのですが、どうにも走り足らない筆者は国道121号線で日光まで南下するルートをチョイス。日没後も峠道を堪能して帰京しました。今回の走行距離は約750km。高速道路とワインディング、市街地と1日であらゆるステージを走行しました。超スパルタンなスポーツバイクというイメージが先行するKTM 1290 SUPER DUKE R EVO は、ロングツーリングでもまったく苦痛なく走れたことがかなり意外でした。特に感心したのはシート。見た目はスポンジも薄く、快適性にあまり期待していなかったのですが、思 った以上にクッション性もよく、700km超を走行してもお尻の痛みは皆無! これには本当に驚きました……。

また特徴的なスラントノーズのヘッドライトは、日没後の暗い峠道でもLEDは明るく、路面の状況もつぶさに確認できます。また、高速道路での走行時もノンカウルながら風圧による影響をさほど感じないほど、エアロダイナミクスにも優れています。