【BrandPickup】

ストリートファイターで長距離ツーリングを楽しんでみる

“READY TO RACE”のキャッチフレーズでお馴染みのバイクブランドKTM。近年ではMotoGP/Moto2/Moto3などロードレースの世界選手権での活躍も目覚ましいだけでなく、ダカールラリーをはじめ、MXGPやAMAモトクロス、さらにはエンデューロまであらゆるフィールドで「勝てるバイク」をリリースしているスポーツバイクブランドです。

KTM 1290 SUPER DUKE R EVO は、KTMのトップレンジとなるLC8(エルシーエイト)エンジンを搭載。このLC8は最高出力180馬力を誇る超スポーティなVツインエンジンで、出力特性を変更したバージョンがKTM 1290 SUPER ADVENTURE RなどKTMの象徴たるマシンに採用されています。そんなこともあってKTM 1290 SUPER DUKE R EVOに対して峠やサーキットで思いっきりスポーツ走行を楽しむバイク、そんなイメージを持つ方も多いでしょう。実際のところ、筆者もそう思っていました。

いざ、日帰り弾丸ツーリングへ

今回の試乗記では、KTM 1290 SUPER DUKE R EVOで弾丸ツーリングにチャレンジ! 東京を出発して福島県の磐梯山周辺の絶景とワインディングを満喫しつつ、KTM 1290 SUPER DUKE R EVO の多彩な機能を日帰りツーリングの中であれこれ試そうというもの。

朝6時半、東北自動車道下りの羽生SAでカメラマンと待ち合わせ。第一の目的地である福島県の磐梯吾妻スカイラインを目指して福島西ICまで東北道をひたすら北上するのです。

①加速は超パワフル! でも優しい一面も

KTMのフラッグシップエンジンたるLC8エンジン。筆者がこのエンジンを味わうのは7-8年ぶりですが、相変わらず超パワフル! 1速からトップギアの6速まで、強烈な加速を堪能することができます。以前試乗したLC8はレーシングエンジン寄りで、回さないと面白くない一面もありましたが、現在のLC8はスロットルパーシャルや低回転域でのフィーリングも入念にチューニングされていて、ブン回していなくても気持ちよく走れるんですよ。今回試乗してまずその点に驚きました。Vツインらしいパルス感と共に、どの回転域でも豊かなトルクを味わうことができるので、高速道路で法定速度以下の走行を強いられるような場面でも苦痛ではありません。

今回走った東北道では120km/h区間もありますが、高速道路では常にそういう速度をキープできるわけではありませんよね。上り坂が近づき、車が多くなると流れが90km/h近くまで落ち、再び100km/h-120km/hの流れに……そんな繰り返しですが、スロットルの開け方次第ではまったりとしたVツインらしいフィーリングも楽しめます。もちろんスロットルをワイドに開ければ期待以上の加速を楽しむことができます。ただし、自分なりのライディングポジションを見つけて、しっかりと車体をホールドしておかないと振り落とされてしまいそうな強烈な加速力ですので、フル加速する際にはくれぐれも気を抜かないように……。

②使いやすいクルーズコントロール

KTM 1290 SUPER DUKE R EVO はクルーズコントロールを標準装備しており、高速道路では重宝します。クルコンと言っても、設定速度をキープするだけの単機能ではなく、「+」「―」のボタンを押せばいつでも設定速度を増減できるタイプ。例えば車の流れに合わせて車速を95km/hにセットした後に流れが早くなった場合は「+」ボタンを押して設定速度を100km/hまで上げることも可能。ボタンを押すたびに1km/hずつ、長押しで5km/hずつ設定速度が可変するので、瞬時に好みの速度にアジャストできます。

③乗り方や体重に合わせてサスセッティングを選べる!

セミアクティブ・サスペンションが超便利

いまやスポーツバイクでは当たり前の装備となった電子制御サスペンションは、KTM 1290 SUPER DUKE R EVO でも標準装備しています。驚いたのはその設定項目の細かさです。(一部SUSPENSION PROというオプションで設定可能な装備含む)

オンボードコンピュータには「Suspension:サスペンション」の項目があり、そこに入ると「Damping:ダンピング」「Preload:プリロード」「Anti Dive:アンチダイブ」(オプション装備)の3項目のメニューが登場。各メニューの内訳は下記です。

<Damping:ダンピング=ダンピングレートを調整する項目>

Automatic(オプション装備):オートマティック →ダンピングをオートで設定
Sport:スポーツ →スポーツ走行向け
Street:ストリート →主に街乗り向け
Comfort:コンフォート →快適性重視、クルーズ向け
Track(オプション装備):トラック →サーキット向け
Advanced(オプション装備):アドバンスド →フロントとリアのダンピングを8段階でそれぞれ設定可能

<Preload:プリロード=初期荷重を設定して可動域を調整する項目>

Auto-High(オプション装備):オート・ハイ →自動調整(高め)
Auto-Standard(オプション装備):オート・スターンダード →自動調整(標準)
Auto-Low(オプション装備):オート・ロー →自動調整(低め)
Manual:マニュアル →プリロードを0%から100%まで11段階で手動調整(10%刻み)

<Anti-Dive(オプション装備):アンチ・ダイブ=ノーズダイブなどピッチングを抑制>

Off:オフ →アンチ・ダイブ無効
On:オン →アンチ・ダイブ有効

設定幅としては上記です。今回行きの高速道路では下記のセットアップで走行しました。

ダンピング=コンフォート/プリロード=オート・ロー/アンチ・ダイブ=有効

筆者の体格は小柄で体重は60kgジャスト。これまで海外製の大型スポーツバイクに試乗するたびに悩まされていたのは、サスセッティングの硬さでした……。大柄な欧州のライダーの標準体型に合わせた初期出荷の設定に対して自分の体重が軽すぎるせいか、「サスが硬くて動かないし、乗り心地もゴツゴツする。接地感もあまり感じられないので怖くてアクセルを開けられない」という悩みがありました。

しかし、昨今の電子制御の進化によってそうした不安は払拭されつつあります。事実、今回高速道路で上記のサスセットで走行したところ、これまでになく人馬一体感を満喫! 自分の体格や乗り方に合わせた最適解を見つけることができた気がします。しかも各パラメーターの変化は誰にでもわかりやすいので、走りながら好みのセットアップを探ることも可能です。

例えば体重のある人や、ツーリングで荷物を多めに積載するならプリロードは高めに、サーキットで本気のスポーツ走行を楽しむなら、プリロードとダンピングを高め、などTPOに合わせてハンドルバー左のスイッチで瞬時にサスセットを変更できます。

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