図2は、2022年に見られた超過死亡数の疾患別分布を示す。新型コロナ感染以外の原因で生じた159,984人の超過死亡のうち、老衰と誤嚥性肺炎併せた超過死亡は86,426人で54%を占めた。

図2 2022年における超過死亡数の疾患分布

図3には15%以上の超過死亡が見られた5疾患における2013年と比較した過去10年間の死亡数の推移を示す。誤嚥性肺炎は2017年から新たに分類に加えられたので、10年間の推移を検討できなかった。パーキンソンとアルツハイマー において2017年から急に死亡数が増加したのは、分類方法の変更によると考えられる。

図3 疾患別死亡数の推移

2013年と比較すると全死因を含めて全ての疾患において過去10年間一貫して増加傾向が見られたが、とりわけ、アルツハイマー、パーキンソン、老衰は2倍以上の増加が見られた。新型コロナの流行が始まった2020年は、老衰を除いて他の疾患では減少あるいは1~2%の増加にとどまった。一方、2021年以降は、検討した5疾患においてそれまでの傾向とは逸脱した大幅な増加が見られた。

図4には各疾患の死亡率すなわち、人口10万人あたりの死亡数の推移を示す。絶対数の変化とほぼ同様であり、死亡率も、2020年には一旦鈍化したしたが2021年以降大幅な増加が見られた。

図4 各疾患における死亡率の推移

急速に高齢化が進んだわが国では、過去10年間に年齢構成に変化が生じたので、死亡率の推移については、年齢構成の変化も考慮する必要がある。高齢化が進むほど、死亡率は高くなる。年齢構成の異なる集団でも死亡率を比較できるように、年齢構成を調整してそろえたのが年齢調整死亡率である。年齢調整死亡率は人口10万人あたりの死亡数で示される。

図5には男女別の全死因の年齢調整死亡率を示す。粗死亡率の推移とは異なり男性、女性ともに一貫して年齢調整死亡率は減少傾向が見られた。ところが、2021年以降は増加傾向に転じた。

図5 全死因における年齢調整死亡率

図6は、老衰の年齢調整死亡率を示す。全死因とは異なり過去10年間、一貫して増加傾向が見られるが、2021年からは、それまでの傾向とは逸脱した大幅な増加が見られた。

図6 老衰の年齢調整死亡率

わが国の超過死亡は、新型コロナの流行が始まった2020年からではなく、コロナワクチンの接種が開始された2021年から激増した。年齢別、疾患別にわが国の超過死亡を検討した結果、大部分が70歳以上の高齢者であり、死因としては老衰、誤嚥性肺炎で半数以上を占めることが明らかになった。

超過死亡の発生は、時期的にはコロナワクチンの接種開始と一致するが、超過死亡の原因の多くを占める老衰や誤嚥性肺炎さらにパーキンソンやアルツハイマーなどの神経・精神疾患の増加とワクチン接種との因果関係を医学的に説明することは可能だろうか。