東京都所有の築地市場跡地、共益性に疑問も
東京ドームは1988年の開場で、30年といわれる耐用年数も過ぎるなど、老朽化が進んでいる。22年に100億円規模を投じ、外野のビジョンの横幅を国内最大級の126mに広げたり、空調機能を高めたりする大型改修を実施した。しかし、通路が狭く、席の段差も低くて観戦しにくい旧式の設計構造は手つかずで、老朽化問題は抜本的には解決していない。東京ドームがガラスクロスの天井を内部気圧で持ち上げる方式の手本にした米ミネアポリスのメトロドームもすでに取り壊された。東京ドームはJRと都営三田線の水道橋駅、地下鉄丸の内線の後楽園駅の3駅から徒歩圏内にあり、交通の利便性が高く、長年巨人軍の本拠地を担った「聖地」としてブランド価値もあるが、裏を返せば、魅力はそのあたりにとどまるといっていい。
しかも、東京ドームは所有者が株式会社東京ドームで、巨人軍は年25億円ともいわれる球場使用料を支払わなければならない上、チケット、グッズ販売や飲食などで1試合1億5000万円ともされる興行収入の一部をロイヤルティーとして納めなければならない。阪神タイガースや中日ドラゴンズ、ソフトバンクホークス、オリックス・バファローズが事実上、自前の球場を持っているほか、23年に札幌ドーム(札幌市)からエスコンフィールドHOKKAIDO(北広島市)へ移転した北海道日本ハムファイターズなど、球団による球場の所有化が進んでいる。球場使用料や興行収入の一部を納める義務を実質的に負わず、球団経営を楽にしている。