欧米コンプレックスが強く、祭りのような一体感がある

 一方、サッカー場で熱心にゴミ拾いをする日本人サポーターの姿からは、日本人が抱えがちなあるコンプレックスを読み取れるという。

「日本人はとにかく欧米諸国などの海外に対するコンプレックスが強いです。明治以来、海外の文化が輸入されるようになってからというもの、日本人は海外より遅れている、劣っているという意識が強く、とにかく海外からよく見られたいと思うようなところがあります。

 ですからサッカーの国際試合となると、海外の目を強く意識し、スタジアム内に溢れたゴミ拾いをすることで日本人として誇らしい気持ちになれるワケです。人の目を意識する国民性が、欧米コンプレックスにより、海外の目を強く意識することにつながっています。ゆえに、何かにつけて海外でどうみられているか、外国人からどう思われているかをやたら気にするのです。それに加えて、昔の村社会の延長で人と人の心理的距離が近く、一体感を大切にする国民性を持ち合わせています。ゴミ拾いを一緒に行うことで仲間同士の集団で何かを成し遂げるという満足感もあるでしょうね。

 しかし、みんな一緒といった平等主義的発想の強い日本人はあまり意識しないでしょうが、ほかの国からしてみれば、たしかに称賛に値すると評価する声も多いものの、ゴミ拾いは清掃員が行う仕事ですので批判も少なくありません。」(同)

 では、ゴミのポイ捨てへの対策としては、どのようなことが有効だろうか。

「花見などのイベントでは、自発的にゴミを拾う人が多くするように声掛けをすれば、それにつられて拾う人も多くなるでしょうが、現実的な策ではない気がします。ですから、たとえば同調圧力を思い出させるようなポスターを作るのはどうでしょうか。『ゴミを捨ててはいけない』という文言ではなく、『ポイ捨てするあなたを、だれかが見ている』といった具合に監視の目があることを忘れるなと釘を刺す文章を記せば、ハッとさせられ、自分を見直す人は少なくはないかもしれません。ほとんどの人はきちんとルールを守っているので、こうしたマナー違反の人はごく少数だと思いますが、マナー違反が横行する場面では、日本人の同調圧力に訴えるのも有効な対策になるかもしれませんね」(同)

(取材・文=文月/A4studio、協力=榎本博明/心理学博士、MP人間科学研究所代表)

提供元・Business Journal

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