CASE時代を象徴するW213

2016年に登場した(先代モデル=販売としては現行モデルの)W213は、W212に引き続き軽量高強度の超高張力鋼板を多用しつつフロントフェンダーやボンネット、トランクリッドやフロント&リアエンドの大部分に軽いアルミニウム素材を積極的に採用、重量の増加を抑えつつ高いボディ剛性を確保しています。
また、全幅を1850mmとW212(1855mm)より-5mmしたこともポイントで、たった5mmですがこれによって全幅1850㎜規格の駐車場が利用できるのは日本などのユーザーにとってはメリットです。

ベンチマークであり続ける「メルセデス・ベンツEクラス」と自動車のトレンド【自動車業界の研究】
(画像=E-Class〔W213〕(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)

W213は登場以来、CASE(Connected:コネクティッド、Autonomous:自動運転、Shared&Services:シェアとサービス、Electric:電動化)時代を象徴するように新たな各機能やサービスが随時追加され進化を続けてきました。

安全面では「インテリジェントドライブ」と称される、予防安全につながる部分自動運転の機能を更に進化させ、前走車追従とステアリングアシスト機能を持つ「ドライブパイロット」に、ウインカー操作のみで車線変更を自動で行う「アクティブレーンチェンジングアシスト」が追加され、新たに衝突時の衝撃音から乗員の耳を守る「PRE-SAFE®サウンド」(世界初)と、側面衝突が不可避であることを検知すると衝突側前席バックレストのサイドサポートに内蔵されたエアチャンバーが瞬時に膨張することで、乗員をドアから遠ざけ衝撃の軽減を図る「PRE-SAFE®インパルスサイド」(世界初)などを装備して安全機能を充実させました。

パワートレインではRDE(実路走行試験)規制の導入前に対応したBlueTEC(有害物質を大幅に低減する画期的な排出ガス浄化システム)と称される新開発の2.0L直列4気筒ディーゼルターボエンジン〔OM654〕も搭載され、高い環境性能(JC08モード21.0km/L)と優れた最高出力(194ps/3800rpm)と最大トルク(400N・m/1600-2800rpm)を実現しています。
このエンジンは先行してRDEに対応していて静粛性にも優れ、ディーゼルエンジンとして現在の水準でも高いレベルにあると言えます。

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(画像=2.0L直列4気筒ディーゼルターボエンジン〔OM654〕、『CARSMEET WEB』より 引用)

走行面では「AGILITY CONTROLサスペンション」としてW212からのセレクティブダンピングシステムが正常進化して搭載され、快適な乗り心地と安定したコーナリングを両立、また、W212同様に別途「AIRMATIC」(エアサスペンション)搭載モデルも存在しました。

2017年にはEクラス初となるプラグインハイブリッドモデルが追加され、2.0L直列4気筒ターボエンジンと高出力電気モーターを最適に使い分け、エンジンとハイブリッドとBEV(Battery Electric Vehicle:バッテリー型電気自動車)、それぞれのメリットを活かして高い環境性能(JC08モード15.7km/L)とシステム全体で最高出力(286PS)と最大トルク(550N・m)もの高い動力性能を両立しています。

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(画像=E 350 e アバンギャルド スポーツ(プラグインハイブリッド)〔W213〕(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)

また、緊急時の通報や、スマートフォンから車両状態の確認やエアコン、ナビゲーションの設定、リモートパーキングアシストの操作を可能とする「Mercedes me connect」も標準搭載され、コネクティッドの面でもCASE時代をリードする基幹モデルとして同ブランドはもちろん、当時から現在につながる世界の自動車産業を牽引する役割を担ってきました。

2018年にはさらにCASE時代を象徴する「シェアカー・プラス」を新車を購入したユーザーへ、購入後3年間無料の総合保証プログラムである「メルセデス・ケア」期間中に、希望するモデルを3回無料で利用できる貸出サービスも導入され、普段は自分の愛車に乗りつつ、特別な時には選んだシェアカーを利用できるシェアカーサービスも導入されました。

2019年にはエンジンのダウンサイジング化と電動化がより一層進み、新開発の1.5L直列4気筒ターボエンジン〔M264〕に「BSG(Belt-driven Starter Generator」と「48V電気システム」を備え、高い環境性能(WLTCモード12.9km/L ※WLTCモードはJC08モードよりも実走行に近くて厳しい値とされる)を実現、また、エンジン単体の最高出力(184ps/5800-6100rpm)と最大トルク(280N・m/3000-4000rpm)をBSGによって特に発進時に補うことでスムースな走りを実現しています。
BSGとは発電機とエンジン始動スターター機能を兼ねる電気モーターで、ベルトを介して走行もアシストします。

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(画像=1.5L直列4気筒ターボエンジン+BSG+48V電気システム〔M264〕(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)

2020年にはW213の外観が大幅に変更されました(便宜上ここからW213後期モデル)。

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(画像=E-Class〔W213後期モデル〕(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)

安全面ではステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーの機能が高度化され、周囲の交通状況をより的確に把握することが可能になり機能が大幅に強化されました。 また、ハンズオフ検知機能の使い勝手向上のためステアリングのトルク検知から静電検知方式に変更されました。

パワートレイン面では(日本でも)復活が話題になった3.0L直列6気筒ターボエンジン〔M256〕も新たに導入され、ISG(Integrated Starter Generator)や48V電気システムなどの新技術によって高い環境性能(WLTCモード11.1km/L)とエンジン単体でもハイパワーの最高出力(367ps/5500-6100rpm)と最大トルク(500N・m/1600-4500rpm)を両立しています。

ISGとは発電機とエンジン始動スターター機能を兼ねる電気モーターで、発進時のアシストはもちろん、さらにエンジンのアイドリングをサポートして安定させ、アイドリングの回転数を下げることも可能にしています。

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(画像=3.0L直列6気筒ターボエンジン〔M256〕(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)

そして、対話型インフォテインメントシステムの「MBUX(Mercedes-Benz User Experience)」に日本初のARナビゲーションを採用、ARナビゲーションとは拡張現実(AR)技術を搭載したナビゲーションのことで、進行方向が実際の路上の映像上に表示されるので、複雑な道路形状の交差点などで進む方向をわかりやすくするための機能です。
また、音声認識機能である“ハイ メルセデス”の呼びかけでシステムは起動され、目的地の入力、電話による通話、音楽の選択、メッセージの入力や読み上げ、気象情報の確認といった多くのインフォテインメントシステムの機能を音声で利用することができ、さらにジェスチャー(Vサイン)によって予めセットした機能を表示させる機能も備えられました。

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(画像=ARナビゲーション 欧州仕様(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)

購入といった側面ではW214発売直前の今が、熟成されたW213を手に入れるラストチャンスでデザインやインテリアが気に入っている方には一つの選択肢であると思われます。

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(画像=E-Class インテリア〔W213後期モデル〕(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)

デジタル化がさらに進んだ最新モデルのW214

これまでは近年のモデルを振り返ってきましたが、ここからは未だ日本にどういった内容にて導入されるのかは未定ですが、いよいよW214についてです。

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(画像=E-Class Avantgarde & Exclusive〔W214〕(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)

安全面では「インテリジェントドライブ」がさらに進化して自動運転レベル2としては最高峰の機能(特定条件下での自動運転機能)が搭載されます。 今回、新たに「ジャンクションスタートオフ」と称される交差点での安全性を高める機能が追加され、交差点を横断する際にドライバーディスプレイに周辺の状況を知らせることで危険の回避をサポート、それでも進もうとする場合には警告して注意を喚起、さらにブレーキをかけて車両が進むのを防ぎます。また、ドライバーはアクセルペダルを踏むことでこの機能をキャンセルすることができます。

そして、法規的に認められていることが条件ですが、自動運転レベル4に該当する「自動バレーパーキング」を「インテリジェントパーキングパイロット」のインストールと「Mercedes me connect」を利用することで可能にする機能も搭載されています。

パワートレイン面では全てがハイブリッドモデルとなり(逆に捉えれば全てエンジンを搭載)、第4世代のプラグインハイブリッドが全体の半分を占めるとされており、2.0L直列4気筒ターボエンジン(M254)はエンジン単体で最高出力(204ps/5800rpm)と最大トルク(320N・m/1600-4000rpm)、2.0L直列4気筒ディーゼルターボエンジン(OM654M)はエンジン単体で最高出力(197ps/3600rpm)と最大トルク(440N・m/1800-2800rpm)、それらにISGによるモーターアシスト(23ps、205 N・m)が組み合わせられることによって環境性能と動力性能が両立されます。

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(画像=E-Class プラグインハイブリッド〔W214〕(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)

走行面ではW213に引き続き「AGILITY CONTROLサスペンション」が搭載され、さらに「AIRMATIC」(エアサスペンション)仕様にはEクラスとして初めて最大角度4.5°の「リア・アクスルステアリング」が搭載されます。

そして、W214のメイントピックと言っても過言ではないインフォテインメント面では「MBUXスーパースクリーン」と称されるEQSやEQE等に搭載される「MBUXハイパースクリーン」に対してドライバーディスプレイが独立したタイプです。 「MBUX」は大幅に進歩しており、ゼロレイヤー設計による階層選択の排除や3Dドライバーディスプレイ、オンライン会議、ミュージックストリーミング等のエンターテイメントやインテリアアシスタント機能の強化、スマートフォンによるデジタルキー利用の拡充、さらにOTA通信によるアップデートで機能は随時強化されていきます。

また、「ENERGIZING COMFORT」と称されるウェルネスプログラムでは乗り物酔いを防ぐプログラムが装備され、さらにスマートウォッチを介してバイタルデータを分析することで健康を管理するプログラムでは、バイオフィードバック機能の追加が予定されています。

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(画像=E-Class インテリア〔W214〕(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)
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(画像=E-Class Production〔W214〕(Mercedes-Benz)、『CARSMEET WEB』より 引用)