CPIが鈍化するなか、実質賃金はプラス圏を回復。5月の実質平均時給は全体で前年同月比0.2%上昇し、2021年5月のプラス圏へ戻しています。生産労働者・非管理職は0.3%上昇し、3カ月連続でプラス圏を維持しました。

チャート:実質賃金の下落を続けたものの、下げ幅は縮小

cpi23mar_waged (作成:My Big Apple NY)

CPI自体は11カ月連続で前月を下回り減速トレンドを確認した一方、コアは約3割を占める住宅関連が在庫不足や世帯数の増加など構造要因もあって高止まりし、高止まりを続けます。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed番記者、ニック・ティミラオス記者は6月FOMC見送り、ドットチャートでの7月FOMCでの利上げ再開示唆を報じていましたが、問題は5.5%以上の利上げを続けられるか否かでしょう。

ちなみに、こちらで紹介した通り、CPIの前年比結果は精度の高さで知られるクリーブランド連銀のナウキャストを下回りました。

チャート:2022年10月以降、CPI結果はクリーブランド連銀のナウキャストを下回る傾向あり

cpi23mar_ssss (作成:My Big Apple NY)

コアはナウキャストと一致したとはいえ、今回も概ね法則が的中したと言えるでしょう。

編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2023年6月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。