お笑いタレント・中田敦彦(オリエンタルラジオ)が5月29日に自身のYouTubeチャンネル「NAKATA UNIVERSITY」で松本人志(ダウンタウン)に対する批判的な動画を公開して以降、彼らの周りに不穏な空気が流れている。中田は相方・藤森慎吾とともに、2020年12月に吉本興業を退所。藤森は現在もバラエティ番組などにレギュラー出演しているが、中田はYouTubeやオンラインサロン運営などネット上での活動がメインとなっている。一方、吉本だけでなくお笑い界でも大御所である松本は、吉本を辞めたオリラジにとって、やはり大先輩であることに変わりはない。しかし、中田は以前にも松本批判を展開したことがあり、今回は自身のYouTubeで公開した「【松本人志氏への提言】審査員という権力」なる動画が物議を醸している。

 松本は今年5月20日にフジテレビ系で放送された『THE SECOND~漫才トーナメント~』にアンバサダーとして出演。これは漫才の賞レースだったが、松本は同じく漫才を競い合う『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)やコントの大会『キングオブコント』(TBS系)の審査員を務めるなどしている。この状態について、中田は「松本さんがあらゆる大会にいる」「信じられないくらいの(松本の)独占状態」などと指摘。「それだけ偉大な人だから求められてる」という見方もできるとしつつ、「求められてるっていうことと、実際にやるっていうことは違う」「求められてたとしても、冷静に考えたら、実際にやることがその業界のためになるかどうかでいうと、僕の意見でいうと、あまりためにならない」など、松本やお笑い界の問題を訴えたのだ。

 中田の一連の発言に対し、SNS上ではファンは「本当にそう」「いい視点」などと共感していたが、松本を支持する声のほうが多い様子で、「また松ちゃんに噛みついてるの?」「再生数稼ぎで松ちゃんや藤森に迷惑をかけるのやめて」といった声が相次いだ。

中田敦彦、吉本興業を退社した背景

「また」と言われているように、中田が過去にも松本批判を繰り広げたことは有名。2017年、中田はブログで「オリラジ中田、茂木健一郎の『お笑いオワコン論』支持!」というタイトルの記事を公開。当時、脳科学者の茂木健一郎氏が日本の芸人を「終わっている」と評して話題になっていたなか、松本がコメンテーターとして出演していた『ワイドナショー』(フジテレビ系)に同氏が呼ばれ、釈明するという出来事があった。この流れに、中田はブログで「茂木さん負けるな!と思っていたところ、大御所の番組に出演して大御所に面白くないと言われ公開処刑をされてしまいました」(原文ママ、以下同)と、暗に松本を批判。さらに、中田は当時に出演していたNHKラジオ第1『らじらー! サンデー』で、吉本側から「(松本に)『謝れ』と言われている」と暴露しつつ、「謝らない」と主張して業界内外をザワつかせた。

 なお、2020年にオリラジが退所する際の会見では、中田が勝手に意向を固め、藤森は悩んだ末、一緒に退所することにしたという説明があった。こうした経緯から、中田が松本を批判したり、藤森を振り回したりしているイメージが世間に浸透した。オリラジの2人が退所した直後に週刊誌「フライデー」(講談社)の直撃取材を受けた大﨑洋会長(当時)は中田の退所について、

「中田君に関してはかなり前から(退所を)計画していた感じがした」

「ギャラの取り分のところで半年以上は話し合っていた。とくにYouTubeについて」

と語っていたが、吉本関係者はいう。

「ギャラの取り分というよりは、中田が取ってくるYouTubeの案件が会社の都合で受けられないケースが生じるようになり、そこで折り合いがつかなかった面が大きかったようだ。また、中田は吉本から松本に謝るよう言われていたと話していたが、松本と旧知の役員が中田に『松本と直接話したらどうか』と持ち掛けていたというのが実際のところだったと聞いている。ちなみに吉本所属当時の中田は、いわゆる面倒くさいタイプのタレントではなく、会社が持ってきた仕事は断ることなくきちんとやってくれていたので、特に社員からの評判は悪くなかった」