1. 海外の金融勘定:カナダ、イタリア

    続いてカナダとイタリアについて眺めてみましょう。

    図6 カナダ 海外 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図6がカナダに対する海外の金融勘定 対GDP比です。

    1990年代中盤までは資金余剰、その後リーマンショックまではやや資金不足気味で、その後また資金余剰となっています。

    負債側の株式等が大きな存在感がありますので、カナダから海外に対する株式投資が盛んであることがわかりますね。

    カナダは家計の株式投資も多い国です。

    資産側で多いのは債務証券です。

    政府の金融勘定を見ると、傾向がほぼ一致しますので、政府の国債がほとんどのようです。

    また、資産側でも株式等の存在感も大きいですね。

    カナダは、海外からの国債や株式等への投資も多いという事が言えそうですね。

    図7 イタリア 海外 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図7がイタリアに対する海外の金融勘定 対GDP比です。

    資金過不足はゼロ近辺をアップダウンしていますが、近年ではマイナス気味です。

    意外にもイタリアから海外への投資が超過しているという事になります。

    2007年ころまでは、資産側の債務証券が大きな存在感ですね。

    イタリアは政府の負債が多い事でも知られていますが、海外からの国債購入も多かったようです。

    ただし、リーマンショック後はマイナスの時期もあったりと、以前ほど存在感がなくなっていますね。

    近年では金融機関が国債を増やしているようです。

  2. 資金過不足の比較

    最後に、海外の資金過不足の比較をしてみましょう。

    図8 資金過不足 対GDP比 海外OECD統計データ より

    図8が各国に対する海外の資金過不足 対GDP比です。

    日本が常に資金不足、ドイツは近年大きく資金不足です。

    一方、アメリカ、イギリスは資金余剰ですね。

    カナダ、イタリア、フランスはアップダウンしてプラスやマイナスになっています。

  3. 海外の金融勘定の特徴

    今回は、主要先進国に対する海外について、金融勘定の対GDPを見比べてみました。

    主に海外への投資が超過している日本、ドイツ、海外からの投資が超過しているアメリカ、イギリスという特徴がありそうです。

    また、特に欧州ではリーマンショックを機に海外との関係が大きく縮小している様子が良くわかりますね。

    特にドイツ、イギリス、フランスでその影響が大きかったようです。

    今回のコロナ禍を経て、今後も変化していくのかもしれませんね。

    皆さんはどのように考えますか?

編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2023年6月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。