1. 海外の金融勘定:ドイツ

    続いてドイツに対する海外の金融勘定です。

    図3 ドイツ 海外 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図3がドイツの金融勘定 対GDP比です。

    まず金融資産と負債の変化の規模に注目いただきたいのですが、特に規模の拡大する2005~2008年で対GDP比30~40%に達しています。

    日本やアメリカが多くてせいぜい10%程度だったのと比べると、極めて高い水準の金融取引を海外と行っている事になります。

    もちろんEU圏内での取引が活発だとは思いますが、とても大きな水準ですね。

    2008年以降は、リーマンショックによる影響か、急激な収縮が確認できます。

    資金過不足は近年-5~-10%で推移していて、2000年以降急激にドイツから他国への投資が活発化したことが窺えます。

    東欧などへの海外生産が急激に増大している事が想像できますね。

    ドイツは日本と同様、海外に対して投資の超過する国という特徴があります。

  2. 海外の金融勘定:フランス、イギリス

    続いて、フランスとイギリスです。

    図4 フランス 海外 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図4がフランスに対する海外の金融勘定 対GDP比です。極めて印象的な推移ですね。ドイツよりも更に極端な傾向です。

    リーマンショックまでの金融取引が対GDP比70%を超える水準にまで拡大し、その後は20%程度に縮小しています。

    差引の資金過不足だけ見ていてはわかりませんが、金融取引を可視化するといかに海外との取引が活発であったかが良くわかります。

    もちろん、EU圏での取引が多いものと推測されますが、それだけ相互にとって合理的な取引がされているのかもしれませんね。

    当時は資産側も負債側もその他が大勢を占めていたようで、その中身は良くわかりません。

    貿易信用の可能性が高いと思いますが、半分以上を占めています。

    上図からだとわかりにくいですが、資金過不足は近年ではややプラスで推移していますね。

    ほぼ相殺されてゼロに近い状況です。

    図5 イギリス 海外 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図5がイギリスに対する海外の金融勘定 対GDP比です。

    フランスほどではありませんが、やはりリーマンショックを機に金融取引の規模が収縮しています。

    特徴的なのは、金融資産の現金・預金が大きくプラスの状態から、マイナスへと転じているところですね。

    海外がイギリスに対して持っていた現金・預金を、リーマンショックを機に減少させている事になります。

    負債側も同様ですね。

    金融資産側はポンド、負債側の多くはユーロと思われますが、これがどのような変化を示しているのか、専門の方がいればお教えいただきたいです。

    資金過不足は常に0~5%程度でプラスで推移していますので、海外からイギリスに対する投資が超過し続けているようです。